大東大、防御で後輩にプライド伝える。勝った流経大も、次戦へ覚悟。
今季、1勝しかしていない。
2週間前の日大戦は5-88の大敗だった。
くすんでいたモスグリーンのジャージーがタックルで試合を引き締めた。12月5日に秩父宮ラグビー場でおこなわれた関東大学リーグ戦1部の2020年シーズンの最終戦、対流経大。大東大は10-19と敗れるも、気持ちの入ったプレーを見せた。
流経大は、勝てば、東海大、日大と勝ち点(24)で並ぶ。この日の試合に54点差で勝てば(得失点差で)優勝の可能性もあった。
一方の大東大には次のステージはない。しかし、この日が学生時代のラストゲームとなる4年生たちを中心に強いディフェンスで戦い続けた。
小雨が降り、ボールが滑りやすい状況ではあった。流経大が先制点をあげたのは前半20分過ぎだった(LOアピサロメ・ボギドラウがラックから抜け出る)。34分にはラインアウトから攻めてNO8南太陽がインゴールへ入った。
しかし、勝者の前半のトライはそれだけ。後半もモールからの1トライしか追加できなかった。
ダイナミックラグビーを標榜する流経大。しかし、思うようなパフォーマンスを披露できなかった。
内山達二監督は、「大東大は今季いちばんのゲームだったと思います。強烈なディフェンスでした。それを受けてミスが出て、ペナルティもした。自分たちのラグビーをさせてもらえなかった」と振り返った。
大東大のファイトに敬意を表したのはFL坂本侑翼主将も同じだった。
「外にスペースがあるとずれてくる。大東大のディフェンスをそう分析していたのですが、きょうはそんなことはお構いなしに、とにかく素早く前に出てプレッシャーをかけてきました。それを受けて、少しパニックになってしまいました」
大東大のゲームキャプテンを務めたFL呉山聖道は、「自分たちがやってきたことを表現できてよかった」と話した。
大量失点を喫した前戦からの2週間、練習の多くをディフェンスに費やした。接点で激しく。全員で前へ。その徹底を試合でも実践した。
「しっかり体を当てて、流経大の勢いのある攻撃を止めようと思った」
副将のFB鈴木匠も、「大差で負けた日大戦は情けない試合をしてしまった。Aチームの自覚が足りなかった。だからこの2週間、ディフェンスをしようと言い続けてきた」と話した。
「このままでは終わらない。4年生は、後輩たちに何かを残そうと言ってやってきました。大東大(への進学を)を選んでくれた後輩たちの前で情けない試合はしない、見せたくない、と」
4年生たちのプライドは、きっと後輩たちに届いた。今季は6位に終わったが、この一戦は来季につながる。
そしてこの奮闘は、大学選手権へ進むライバルへのエールにもなった。
流経大の内山監督は「ここからは負けたら終わり。相手は(この日の大東大のように)全身全霊で向かってくる。自分たちのラグビーをやるだけでなく、もうひとつ、ふたつ上のマインドセットをしなくてはいけない。今日のようなプレッシャーのある試合ができて、いいレビューができます」
この日、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたPR津嘉山廉人は「高いプレッシャーの中でやれてよかった。意識を高めていきたい」と話した。
坂本主将も「簡単な試合なんかないのだと再認識できました。全員で同じ方向を向いていこうと思います」と語り、気持ちを引き締めた。
関東大学リーグ戦1部は同日で2020年シーズンの全試合が終了した。6勝1敗の勝ち点24で東海大、流経大、日大が並ぶも(東海大×日大は東海大部員のコロナウイルス感染により東海大が辞退したため日大が不戦勝)、コロナ禍で急遽決められた特別な順位決定方法により、3当該校同士以外のチームとの総得失点差により、順位は東海大、流経大、日大の順に(この3校が全国大学選手権に出場)。4位以下は、法大、中大、大東大、関東学大、専大となった。