国内 2020.11.30
伝統のジャージー、鵜住居に輝く。マスターズ釜石大会(1)

伝統のジャージー、鵜住居に輝く。マスターズ釜石大会(1)

[ 編集部 ]

◆大会第1日目(11月28日)試合結果

日本航空              17-5       キリンビール Heinekenn
茗溪学園高OB    30-0       東京マスターズ
秋田工高OB        21-7       天理高OB
45年会                12-5       日本航空
惑惑クラブ          28-7       キリンビールHeinekenn
茗溪学園高OB    21-0       天理高OB
惑惑クラブ        19-0       東京マスターズ
45年会                20-0       天理高OB
秋田工高OB        0-0         茗溪学園高OB
日本航空              14-7       惑惑クラブ
45年会                22-0       キリンビールHeinekenn
釜石クラブ          14-7       東京マスターズ

*試合は15分または10分ストレート

 マスターズとあって試合のパワーは全盛期のそれではないものの、それぞれの試合に見所があった。会場が目を引きつけられたカードの一つは秋田工高OB vs天理高OB。花園で燦然と輝くあの伝統のジャージーが、まぶしい。そして試合中の動きにも目を奪われた。

 OBが定期的にプレーする機会がないという秋田工業は今回、使われなくなった現役のジャージーを借りて参加した。高校ラグビー界、最高峰の名門。紺と白の段柄、白パンツに紺ソックスは「精魂尽くして颯爽たり」の同部の看板フレーズを体現する凛々しさがある。第67回大会全国優勝時のLO、高杉司さんは「このジャージーは特別。天理さんという相手も特別です」と、同門の後輩たちとのプレーを楽しんだ(高杉さんは新日鐵釜石OBでもあり、この日、釜石クラブのメンバーとしてもプレー)。

 対する天理は純白だ。OB会の了承をとり、現役と同じデザインのジャージーを作って参戦した14名(1名ぶんは助っ人を借りて)は、こちらも天理魂を鵜住居の芝に刻みつけた。マイボール・キックオフの、ハーフウェイラインを超える瞬間のスピード。ここぞの場面では誰よりも低く刺さるタックル。アスリートと仕事人の調和。マスターズだけど(失礼)、そのチームは天理だった。

 ある天理OBのお一人が教えてくださった。

「今はもう70歳を過ぎた先輩たちが、現役だった頃に」

 ある日、土砂降りの雨が降った。今日はさすがに外で練習はできないと部員が軽い気持ちでいると、当時の監督が静かに言った。

「秋田は、晴れとる」

 花園の決勝で敗れたこともあるライバルとの熱い関係を示す、天理サイドのエピソードだ。

 体をぶつけ、角突き合わせる男たちには、個々にも様々なストーリーがある。試合後は、どのカードもなごやかにエールを交換し、肩を抱き合って記念写真に収まった。

 夢中で戦い、友情を温めて。東北に想いを寄せる時間をみんなでともにした。

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