国内 2020.11.15

福岡工業大が2年ぶりの全国つかむ。日本文理大も、また一歩先へ。

[ 編集部 ]
福岡工業大が2年ぶりの全国つかむ。日本文理大も、また一歩先へ。
全国へ。逆転勝ちで勝利をつかんだ福岡工業大。(写真/筒井剛史)
何度も好機を作った福岡工業大NO8鎌田凌。(写真/筒井剛史)
日本文理大、SH森田龍弥の先制トライ。(写真/筒井剛史)


 14点を先行したのに前半を19点のビハインドで終えた(14-33)。
 それでもいい顔をしていた。
 日本文理大のCTB、黒川智太主将は、ハーフタイムの円陣で仲間に語りかけた。
「まだまだ、やれる。エリアとディフェンス。自分たちがやってきたことを、もう一度やろう」

 しかし、届かなかった。
 全国大学選手権への出場をかけた九州学生リーグの優勝決定戦が11月14日におこなわれ、福岡工業大が日本文理大を38-21で破った。2大会ぶり27回目の出場を決め、相手が狙っていた初出場の夢を砕いた。

 日本文理大がゲーム序盤を支配できたのは、描いていたプランをきっちりと遂行したからだ。
 キックを上げてプレッシャーをかけ、好機をつかむ。シンプルなプレーを集中して実行し続けた。

 先制点は、その攻撃が活きた。日本文理大は前半5分、自分たちで蹴ったキックボールを再獲得して攻め込む。PKを得た。速攻を仕掛け、SH森田龍弥がインゴールに入った。
 18分にはキックチャージからWTB白井恵一郎が加点する。CTBカピオラニ・カウフシの2つのコンバージョンキックも決まる。勢いがあった。

 その流れが続かなかったのは、福岡工業大が落ち着いていたからだ。
 宮浦成敏監督は序盤を「相手がやってくることは分かっていたのに、付き合ってしまった」と振り返る。
「ただ、状況を見れば外を攻めればいけるとすぐ分かった。ピッチから聞こえてくる選手たちの声を聞いていると、ちゃんと指示し合えていたので心配はしていませんでした」

 福岡工業大の反撃は前半23分から始まった。
 NO8鎌田凌の突破がきっかけだ。敵陣に攻め込みPKを得る。タッチへ蹴り出した後のラインアウトからモールを組んでインゴールへ入った。
 その4分後にもラインアウト後の鎌田の突破から好機を作り、トライ。ともにFL田嶋宏成がトライスコアラーとなり、WTB恵良寿季がコンバージョンキックを決めた。

 同点に追いついた福岡工業大は、なおも攻め立てた。FB香山海渡主将は「自分たちが用意してきたオプションをもう一度思い出し、それをやろう。みんなに、そう声をかけました」と振り返る。
 30分、スクラムから大きくボールを動かしてWTB恵良が左へ。36分にはスクラムを押し込んでトライラインに迫り、最後はCTB平山真也が決めた。
 39分にはCTBヴァカラヒ・シオエリの好タックルでボールを取り返し、自陣から攻め切った。

 33-14と福岡工業大がリードして迎えた後半。日本文理大は防御を立て直して試合を再度引き締めた。
 しかし、トライは両チームとも1トライずつでファイナルスコアは38-21。福岡工業大がそのまま勝利を手にした。宮浦監督、香山主将ともに、「全国大会では最初から自分たちが準備したプレーをすることが大事」と気を引き締めた。

 序盤の勢いを持続できずに逆転負けの日本文理大、永野裕士監督は、思惑通りの先制パンチに手応えは感じたが、「逃げ切れなかった」と悔やんだ。
 しかし、チームがまた一歩先に進んだことも感じている。
 3年前も、『あと1勝で全国』という試合は経験している。
「ただあのときは、幸運も重なって、というところもありました。でも今回は、選手とチームが積み重ねてきたものを出した結果だと思います」
 前半終盤に突き放されても崩れず、後半に立て直した。指揮官は、「そういう経験がチームの財産になる」と話した。

3位決定戦は28-17で九州共立大が福岡大を破った。(写真/筒井剛史)

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