【ラグリパWest】ベテラン監督、健在なり 向井昭吾 [コカ・コーラ レッドスパークス 監督&部長]
向井は新田から東海大に進み、東芝府中(現・東芝)に入った。キックなど技に優れたFBとして日本代表キャップ13を得る。
1994年、東芝府中の監督に就任。猛練習で会得したペナルティーからの速攻、「PからGO」はラグビー界の社会現象になった。
2000年に退任するまでの6シーズンで日本選手権3連覇、全国社会人大会(トップリーグの前身)では連覇を飾る。
退任と同時に日本代表監督になる。
2003年、第5回W杯の指揮を執る。オーストラリアでは4戦全敗。当時は今のように全権監督ではない。メンバー編成など、上からの圧力は常にあった。手かせ足かせの中でも向井は投げ出さなかった。最後は土色の顔。笑みはない。
2004年、当時のコカ・コーラウエストジャパンの監督に就いた。2シーズンでチームを昇格させ、2006年度からトップリーグで戦った。現場での指揮は計8シーズン。その間、最高の8位。1966年(昭和41)創部のチームにとって、「中興の祖」である。
その後、GM兼総監督になる。2015年の春、退任するも、ラグビーの縁は切れなかった。
学校やスクールなどを訪れ、コーチをする。向井を知らない子供たちの中では、笑顔で接し、レベルを初歩に下げた。それはコーチングに幅をつける。新たな境地に入った。
「去年は5年ぶりにメンバーを見ました。力が見えませんでした」
トップチャレンジは5勝1敗1分の3位。優勝する近鉄に26−43と負けたのみ。2位の豊田自動織機は21−12と下したが、勝ち点24で並び、総得失点差で沈んだ。
2年目。チームへの理解は深まる。
7人制日本代表のFB吉澤太一は7年目を迎えた。
「今年から15人制に専念してくれます。楽しみです」
ステップの切れに衰えはない。
新人SOで立正大から来た今泉仁(じん)にも期待がかかる。
「フィジカルが強いです」
外国人として、昨年から在籍のブロディ・マカスケルの名前も挙がる。
「素直。活躍してくれればいいですね」
190センチ、110キロ。オーストラリア出身のNO8をそう評する。
向井にとって2回目のトップチャレンジは1月17日に開幕する。今回は9チームによる総当たりリーグ戦だ。
初戦は九州電力。「福岡ダービー」のキックオフは14時。会場はベスト電器スタジアム(旧レベルファイブ)だ。
リーグ戦で4位までに入れば、トップリーグチームとのセカンドステージを戦う。
「人間的成長なしに、ラグビーの成長はない」
指導者として円熟する向井。その信念が、花開く年にしたい。