その他 2020.10.19

山中亮平とグレイグ・レイドロー。日本大会の歴史的一戦を振り返る。

[ 向 風見也 ]
山中亮平とグレイグ・レイドロー。日本大会の歴史的一戦を振り返る。
上段左から山田章仁、グレイグ・レイドロー。下は山中亮平


 オンライン上では、子どもたちからたくさんの質問を受けた。日本代表の山中亮平も、元スコットランド代表主将のグレイグ・レイドローも真摯に答える。

 2020年10月13日、三菱地所が動かす「丸の内15丁目PROJECT.」のオンライントークイベント『オンライントークラグビー世界大会2020~ONE TEAM FES』でのことだ。

 ステップに磨きをかけるにはどういう練習をしていますか。

 まずは山中が応じる。

「まず、チームでやるなら、同じポジションの選手とかと1対1で抜き合いをするのが一番。抜き合って、アドバイスをもらいながら高め合っていくのが理想的な練習の仕方だと思います」

 別な子どもは、パスとキックの上達方法を聞く。レイドロー、山中がそれぞれパス、キックを語る。基本中の基本を、万人がわかるよう伝えていた。

「まず、パスはキャッチから始まります。いいキャッチができれば、持ち替えなくていい。手を上げて、指でキャッチすること。そして、パスするときはターゲットをまっすぐ見ること。腰からパンチする形で押し出すようにすれば、いいパスができます」

「普通のキックは、ボールを落として蹴るんだけど、その落とし方がすごく大事です。ボールをまっすぐ落として蹴る。ボールの落とし方がぶれたりしたら(足がボールに)当たるところ、回転も変わる。まずはまっすぐしっかり落として蹴る練習をするのが大事だと思います。最初は近くの相手にまっすぐ落として蹴るという練習を始めて、だんだん距離を伸ばしてロングキックを蹴られるように(なる)」

 イベントでは、2015年のラグビーワールドカップで日本代表だった山田章仁が司会。ファンの質問に答える形で話を進める。ちょうど1年前にはワールドカップ日本大会の日本代表対スコットランド代表戦があり、その日、31歳だった山中は後半10分からFBとして投入され、当時34歳のレイドローは先発SHとして後半11分までプレーしていた。

 神奈川・横浜国際総合競技場での試合は、前半6分にスコットランド代表が先制も、日本代表が続く16分、25分、39分にトライを決める。終盤はスコットランド代表の猛追撃に耐えながら、28-21で勝利。初の大会8強入りを決めた。

「日本のラグビーにはもとから強い印象を持っていた。特に2015年は(イングランド大会での)南アフリカ代表戦で勝利。そこから4年後、進歩したのは、コーチングスタッフや選手の功績のおかげです」とは、敗れたレイドローである。

 スコットランド代表はこの日、4トライを奪って8点差以上で勝てば決勝トーナメントに行けた。大会後に代表引退を表明するレイドローは、このように振り返った。

「試合では日本代表がいいプレーができていて、自分たちがいいプレーができていなくてがっかりしました。一番やばいと思ったのは、ハーフタイム直前に(この日の日本代表にとって3本目となる)トライをされた瞬間です。私たちは準々決勝に行くには(勝ち点の都合上)8点差以上で勝たなきゃいけなかったので、難しいかなと。交代は、満足ではなかった。なぜならこれがスコットランド代表としてプレーできる最後の機会になるだろうとわかっていたので。大会を通して思うようなパフォーマンスが発揮できなかったことには、がっかりしました」

 かたや日本代表の山中は、当日に向けた心境を「めちゃ気合い入っていました。しっかり勝って決勝トーナメントに行きたい気持ちが強かったので」と述懐。ちょうど山中が投入されたのは、スコットランド代表が息を吹き返したタイミングだった。後半2分のスコアで28-7と白星に近づくも、9分、14分に追い上げられていた。レイドローは続ける。

「テストマッチ(代表戦)では勝ちに行くメンタリティです。しっかり自分たちの計画を遂行しようとしています。スコットランド代表が後半に強い大きな理由はフィットネスがあり、コーチ陣もこのようなコーチングを好んでいるからだと思います」

 山中はこうだ。

「残り30分も(相手に)すごい勢いがあって、試合終盤なのにこんなにも勢いがあるのかと。スコットランド代表は80分通して強いチームなのだと感じました。ただ、日本代表は前半20分頃から勢いよくアタックしていた。フィジカルの部分で相手に勝っていこうというところ、セットプレーで負けないようにしようということはゲームプランにも入っていましたし、フィジカルに、タフに相手に競り勝つことを意識しました。だから後半(さらなる追撃を受けた試合終盤)もトライを奪われずにできました」

 2021年1月、国内トップリーグが開幕。山中は神戸製鋼、レイドローは山田と同じNTTコムでプレーする。

 トヨタ自動車の姫野和樹は来年、スーパーラグビーのハイランダーズへ期限付き移籍をするが、山中は「海外のスーパーラグビーのチームでやりたいというのは若い時というか、前からの目標でもあった。チャンスがあれば挑戦してみたいなとは思います」としながら、「自分はまず神戸製鋼で頑張りたいとは思います」。10月上旬からチーム練習を始めている。

「(新加入したニュージーランド代表経験者の)アーロン・クルーデン、ベン・スミスはまだ合流できていないですけど、チームの雰囲気もいい感じ。久しぶりに集まれて、いいスタートが切れているなと感じました」

 レイドローは、来日の経緯をこのように語った。

「新しいチャレンジを求めていた。自分のコンフォートゾーンから抜け出し、慣れていない環境で挑戦したい気持ちが強かったです。いままでも幸運なことにアイルランド、イングランド、フランスなどでプレーでき、今回は移籍のいいタイミングでした。トップリーグで新たなチャレンジができるのを楽しみにしています」

 なお『オンライントークラグビー世界大会2020~ONE TEAM FES』は10月20日にも開催。ちょうど1年前にあたるワールドカップ日本大会の準々決勝に出た日本代表の中村亮土、南アフリカ代表のマルコム・マークスが出演する。

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