日大の力感と関東学大の粘り。両軍陣営の声は。
日大ラグビー部の藤村琉士主将は10月10日、関東大学リーグ戦1部の関東学大戦で今季初先発。スクラムを最前列中央でリードし、再三、プッシュする。力強い突進でも光った。
50-5。開幕2連勝を決めた。
「スクラム、モールで圧倒できたこと、フィジカルを全面に押し出して前に押し出せたことが勝った要因だと思います」
前年度2位の日大は、ラック上からのランナーが駆け上がるなど縦への攻撃で試合を作る。WTBのナサニエル・トゥポウは左右に動いて3トライ。FBの普久原琉は軽やかに防御の隙間を突く。FLの長谷銀次朗もよく前に出た。
この日マン・オブ・ザ・マッチに輝いた藤村は、こうも続ける。
「次戦もフィジカルを押し出すラグビーをやって、しっかり勝ちたいです」
もっとも、雨のなかでミスも重ねた。3シーズンぶりに2部リーグから昇格の関東学大は、日大の相次ぐ突進へ鋭いタックルで応戦。FLの山崎海の低空姿勢でのヒット、NO8の尾崎遼太朗が藤村の落球を誘う胸元への一撃が際立つ。
山崎は言う。
「感じたのは重さでした。ただ、自分たちでボールを持っていけば前に出られる。ディフェンスでも前に出れば止められる。そう実感した試合でもありました」
CTBの芳崎風太はタフな防御に加え、わずかなスペースへのピンポイントパスでチーム唯一となるWTBの福士萌起のトライも演出した。WTBの萬田開人主将は、タックル後すぐに起立し数手先の接点に絡むなど、運動量で光った。
5-33とリードされて迎えたハーフタイムは、雨よけのテントの下で「相手があまりミスをしていないのは、こっちのプレッシャーがまだ甘いからだ!」などとゲキを飛ばし合い、ファイティングポーズを崩さなかった。
「日大さんの気迫にのまれた。我々はアタッキングマインドというキーワードで臨んだのですが、(相手の)想像以上の攻撃的な姿勢に受け身に回ってしまった」
こう語るのは、試合後の板井良太監督。好感触に酔うより敗戦を悔やむのは、本気で勝利を狙ったからこそ。WTBの萬田主将は続ける。
「雨の状況で相手に乗られ、チームをまとめられなかったのは心残りです。通用する部分はあった。アタックでボールキープをしたらゲインラインは切れる。次はどんどん点をとっていきたいです」
この一戦は無観客で実施され、取材は記者団の質問を関東協会がとりまとめ、各クラブにインタビューを委任する形でおこなわれた。
日大は17日に東京・江戸川区陸上競技場で専大(昨季5位)と、関東学大は18日に埼玉・セナリオハウスフィールド三郷で流経大(同3位)とぶつかる。