国内 2020.10.10

サンウルブズでも幅広げた。流経大のイノケ・ブルア、今季初陣への課題は。

[ 向 風見也 ]
サンウルブズでも幅広げた。流経大のイノケ・ブルア、今季初陣への課題は。
流通経済大のイノケ・ブルア。写真は昨年度の全国大学選手権3回戦・帝京大戦から(撮影:松本かおり)


 自分の身体と自分のプレーを理解している。流経大ラグビー部のイノケ・ブルアは、ある動作を欠かさない。

 足を前後に開く。後ろ足の膝を曲げ、伸ばした前足にぐっと体重をかける。これを左右、交互に繰り返す。
 
 練習が本格化する前におこなうボール回しの合間にも、このアクションを意図的におこなう。

「大事。いっぱい走るから、もし、それをやっていなかったらけがのリスクが高くなる」

 来日3年目のフィジー人留学生。大きなストライド、変幻自在のフットワークを持ち味とする。得意なプレーの披露が故障につながらぬよう、特に下半身に入念なケアを施す。

 10月11日、加盟する関東大学リーグ戦1部の専大戦がある。茨城県内の流経大グラウンドでの無観客マッチだ。

 コロナ禍に伴い、開幕前の実戦機会は例年より少ない。特異なシーズンの渦中、内山達二監督は「少ないゲームのなか、大学選手権に向けて選手層を厚くする。勢いのあるメンバーを出す」。昨季リーグ戦3位となったことで出場した大学選手権を見据え、少しでも多くの選手へ出番を与えたいようだ。

 韋駄天のブルアは、専大戦で今季初先発を飾る。アウトサイドCTBに入る。

「(以後は)全部の試合、けがなしで出る。それが一番!」

専修大との試合へ向け練習するイノケ・ブルア(撮影:向 風見也)

 身長177センチ、体重90キロ。スバ・グラマースクールを経て流経大入り。2年目の昨季は12月15日、埼玉・熊谷ラグビー場での大学選手権の3回戦で過去9度日本一の帝京大と激突。2トライを決めて43-39で勝ち、シーズン終了後にはサンウルブズの練習生となった。

 国際リーグのスーパーラグビーへ日本から挑むサンウルブズは、各国から選手を集める。

 多国籍軍におけるプレー中の連携は簡単ではなかろうが、ブルアは「自分は日本語もわかっていたから、日本語と英語で(声をかけ合った)」。現キヤノン監督の沢木敬介コーチングコーディネーターからは、最後尾のFBでプレーできるよう動きながらキックを蹴ったり、防御をひきつけてパスを放ったりする動作を指導された。

「いっぱい、勉強しました。大学と全然違うレベル。雰囲気もよかった」
 
 寮に戻ってからは、グラウンドやジムが使えなくとも自室でダンベルを動かす。指揮官によれば7月から本格的にギアを入れ始め、FLの坂本侑翼主将ら合計25名のリーダー陣が引っ張る形でモチベーションを高める。

 練習後は必ず、主力組、控え組にわかれてレビューを実施。事前に掲げたその日のフォーカスポイントを遂行できたか、意見を交わす。

 10月4日、流経大グラウンドでの法大との初戦を28-10で制したが、ミスの重なる内容に「(根本的な課題は)ポジショニング、ディシジョンメイキング」と坂本。これは自ずと、専大戦へのテーマとなった。

 ブルアは右肩痛の影響で初戦を欠場。今回、遅れてやってきたオープニングゲームへ挑む格好だ。専大戦でのミッションを問われれば、「パッシング。ベーシックスキル。コミュニケーション。チームでのポジショニング…」。組織全体でやろうとすることを、個人としても実践したい。

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