三兄弟の三男から、サニックスの二男へ。濱里耕平が姿勢で引っ張る。
三兄弟の三男。
その立場からいつまでも若いと思われてきたのに、気づいてみれば、もう32歳。宗像サニックスブルースのSHとして長く活躍してきた濱里耕平が11年目のシーズン開幕に向け、毎日を大事に過ごしている。
2021年1月に始まる新シーズンのスケジュールが発表されたトップリーグ。各チームとも9月に入って本格的なトレーニングを始めている。
宗像サニックスも、8月31日からチームとして本格的な練習を始めた。もともとよく走るチームが、今年は例年以上に走っている。濱里は「これまでで、いちばんキツいかもしれない。(年齢を重ね)毎年キツくなっていっているような」と話しながらも、「若い人たちに負けていられない」と歯をくいしばる。
昨年までは濱里(耕)と書く必要があった。
しかし、一緒にブルースでプレーしていた長男・祐介、二男・周作ともに昨季限りで引退。長男はコーチとしてチームに残り、二男は故郷・沖縄に戻った。今季からは「濱里」の表記は「耕平」を指す。
「(ウイルス感染拡大防止のため)練習中に用意するマイボトルにも濱里とだけ書いています」と言う。
チームでは今季が13年目となるSO田代宙士に次ぐ在籍年数。田代が長男なら、濱里は二男のようなものだ(カーン・ヘスケスも同じ年に入団)。
昨年デビューし、同じポジションの藤井達哉はブルースのグラウンドで活動する玄海ジュニアラグビークラブの出身で12歳違い。幼い姿を知っている若者と同じグラウンドに立ち、同じ練習をしていることは、自分を走らせる刺激にもなっている。
周囲を引っ張る立場になったことを自覚して言う。
「ベテランだからといって、練習を抜けるようなことはしたくないですね。やり切りたい。スキルを教えることはできないので、そういう姿勢で伝えたい」
ケガを心配する祖母には、「いつも(ラグビーを)いつまでやるの? と言われます」と笑う。しかし、両親には「人に負けると思うようになったら辞めろ、といわれてきた」。
負けず嫌い。その言葉を肝に銘じている。
開幕へ向け準備を進めるチームの中で、いろんな変化を感じている。「新しく加入したレメキ(ロマノ ラヴァ)が若手を誘って練習したりしてくれていて、みんなの意識が高くなっています」というのも、そのひとつだ。
「チーム全員で自分たちのスタイル、戦術を理解し、同じ目標に向かって一丸となりたい。そうやって準備して、ひとつでも多く勝ちたい」と新シーズンに思いを馳せる。
そのためにも、「まずは、自分自身が試合に出ることを考えます。そうなるように準備を精一杯する」と話す。勝利に直結するパフォーマンスを見せ、チームに貢献したい。
ハーフ団としてコンビを組むSOは誰になるのか。それも楽しみだ。
田代とは長年の付き合いがある。ピッチ上だけでなく、よく食事にも行くから「考えていることがわかる」間柄。それに加え、サントリーから小野晃征も加わった(2011年度シーズンまでサニックス に在籍)。
「以前(小野が)いた頃はまだ僕はWTBだったので組んだことはありませんが、経験が豊富なので、いろんなアドバイスをもらえそう」と期待を込める。
ふたりの兄が経験できなかったリーグでの上位進出を目指し、開幕までの残り3か月を濃密なものにするつもりだ。