国内
2020.09.02
7月まで活動中止。夏合宿は出発直前に許可…。2020年の東海大ラグビー部。
7月以降は少人数グループでならグラウンドが使えたが、指揮官によれば「入校時に使う門は限定される。(選手を)追跡できるようカードリーダーを通して、指導者が検温、消毒をし、問題なければ入館できる」。1人が敷地内にいられる1日あたりの時間も「90分と決まったら、90分以内。その間に(外へ)出なきゃいけない」とシビアに区切られた。
10月からとみられるシーズンに向け、チームは制約と無縁の地で汗を流したかった。だから、広々とした菅平で心置きなくボールを追いたかったのである。
キャンプインしたのは173名中155名。初日よりも2週間以上前に寮に戻ったメンバーのみに限られた。木村監督は補足する。
「そのことは保護者に(事前に)3~4回ぐらい、Zoomでのミーティングで伝えました」
そう。就任22年目のベテラン指導者は、菅平で自問自答するよりも前からあちこちに神経を注いできた。いまもなお、細心の注意を払いながら学生の動きを見つめる。
ウイルスの他に気がかりなのは、学生たちの心理面。特に、ラストイヤーに特異な事態を迎えた4年生へは「僕らでさえ喪失感があったのだから、期間限定でやっている彼らはよっぽど」。外部の専門家を招き、メンタルケアを施したいという。
「僕ら(首脳陣)でしかできないこともあるんですけど、僕らではできないこともある。それを見極めていかないと。いまの子たちへの対応は、昔のやり方のままじゃ通用しないですからね」
9月は他の強豪大との試合形式練習をおこないながら、選手選考やチーム力向上にも視線を注ぐ。霧に覆われた世界の片隅で、熟考の末の一手を繰り出す。
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