コロナと酷暑で厳しい夏も堤ほの花は五輪へ前向き。「ラグビーができる。嬉しくてしょうがない」
1年後の東京オリンピックでメダル獲得を目指す女子7人制ラグビー(セブンズ)日本代表候補の選手たちが、8月17日から19日にかけて埼玉県熊谷市で合宿をおこなった。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、今回の合宿に参加したのは10人で、それを2組に分け、練習は別々のところで実施した。
熊谷は連日、最高気温は35度を超えた。なるべく午前中に練習を入れていたが、それでも暑い。
「氷を入れたバケツが各自に用意され、自分たちの(飲料用)ボトルを冷やしたり、タオルを濡らしてそれで首や体を冷やしたりしてました。休憩時は日陰に入ったり。(コロナ感染防止のため)あまり大きな声は出せないですが、距離をとって、励ましあいながら練習をやっています」
そう話してくれたのは、合宿参加者のひとりである堤ほの花だ。身長154センチ、体重56キロと小柄なスピードスターは2日目の練習後、オンライン合同取材に応じてくれた。
「なかなかみんなで集まれない状況ですが、合宿ができることがありがたいと思っています。(コロナ禍で活動自粛期間が長期におよび)ずっとラグビーができていない状況からスタートしたので、いまはイチから体を慣らしていく段階です。基本的なスキルやスプリントなどを取り入れて、まずは体を徐々に動かすというメニューがおもになっています」
合宿だが、以前のようにみんなで自由に集まることはできない。ミーティングはリモートでやることが増え、食事も個別。昼食は各自の部屋で食べ、同じところで食べるにしても席は離れ、あまりしゃべらないでと注意されながら食べる。「合宿っぽくない合宿。少し悲しい」と堤は苦笑した。
それでも最近、普段の活動拠点である母校・日体大で他の運動部にクラスター(感染者集団)が発生しており、コロナ対策はいままで以上に気をつけなければならないと理解している。トレーニングをするにも厳しい状況が続くが、十分に注意をしながら前向きにやっていくしかない。
1年延期となった東京オリンピックで、メダルを獲るという目標に変わりはない。女子セブンズ日本代表は、人とボールが動き続け、観ている人もワクワクするようなラグビーを目指す。
「ゴールが目の前だったのに遠くに行ってしまったのは残念ですけど、なってしまったのはしょうがないし、いまできることをやるだけと気持ちを切り替えています。不安がないわけではないですが、いまできることをひとつずつクリアしていかないといけない。前向きにとらえています」
そう話す堤は今年、社会人になった。会社には社員という形で入社しているが、ラグビー漬けの毎日。
「いい環境でやらせてもらっています。ラグビーができることが、いま嬉しくてしょうがない」
だから、いま抱えている問題はそんなに感じないと笑う。
メンタルの強さも堤の武器だ。1年後、彼女はきっと大きく成長しているに違いない。