国内 2020.08.03

誰にでも人生は変えられる。日野の田邊秀樹がオンラインセミナーを開くわけ。

[ 向 風見也 ]
誰にでも人生は変えられる。日野の田邊秀樹がオンラインセミナーを開くわけ。
2020年1月12日のNTTコム戦でプレーする日野レッドドルフィンズの田邊秀樹(撮影:松本かおり)


 現役プロラグビー選手が、全国の若者とつながっている。国内トップリーグの日野に所属する田邊秀樹は、頻繁にオンラインセミナーを開講。言葉の力を信じる。

「人の人生を変える機会はそう多くないけど、絶対、皆、できるんです」

 動き出したきっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大だ。リーグ戦が第6節限りでシーズン不成立となるなか、全国の高校生も各種大会の中止によりモチベーションを失いつつあると耳にした。もともとコーチングに興味のあった32歳は決意を固めたのだ。

「ラグビーのおかげで生活できている人間として、ラグビーの価値は本当に凄いと感じている。こんなに素晴らしいものを、コロナがきっかけで辞めるなんて本当になんてもったいないという思いで始めました。その時はラグビーができない状況だったので、グラウンド外でも活かせるような話しかしないとも決めました」

 32歳。大阪の東大阪ラグビースクール、啓光学園中・高、早大、神戸製鋼を経て、2017年から現所属先にいる。

 学生時代は各世代のトップ級の集うチームでしのぎを削った。国内トップリーグ上位の神戸製鋼には2016年度まで在籍し、海外出身者とのし烈な生存競争に挑んできた。身長175センチ、体重85キロと決して大柄ではないが、持てるスキルを的確に使い分けるための視野、判断力を磨いてきた。移籍当時は下部リーグの日野へ加わったのは、従来と異なる環境に身を置くことで視野を広げるためだ。将来はコーチになりたい。

 身体能力に頼らず成功体験を重ねてきたからか、今回のセミナーで訴えるのも「目に見えないスキル」の大切さだ。

 受講するチームの試合映像を見ながら、パス、ラン、キックをする以前の領域について問いを投げかける。

 普遍化も意識する。効果的な1本のパスで防御を破る過程も、効率的な仕事の進め方に置き換えられると話す。いましているラグビーについて考えを深める延長で、ラグビーを辞めた後も役立つスキルや知恵を身につけてもらえるようにしたいと考える。

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