コラム 2020.07.24

ラグビー金言【19】いま浮かぶのは、この子たちのことだけ。

[ 編集部 ]
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ラグビー金言【19】いま浮かぶのは、この子たちのことだけ。
伝統を積み重ねる名護高校ラグビー部。写真は2019年度大会時のもの。(撮影/松本かおり)



 2019年度の花園に2年連続、18回目の出場を果たした沖縄・名護高校。同校ラグビー部の土台を厚くしたのが宮城博監督だった。

 同監督は1950年9月21日生まれ、沖縄・伊江島の出身。北部農林高校時代は陸上部だった。中京大でラグビーを始め、卒業後、沖縄に戻って、中学のクラブ活動の時間にラグビーを採り入れるなど楕円級の普及に尽力した。

 1983年に名護高校に赴任。その後、一度は他校に移るも’97年、再び同校へ。それから定年を迎えた2010年度までラグビー部の指導にあたった。

 11年連続での花園出場を決めた宮城監督のラストイヤーは、県大会時から周囲が(監督の)「最後の大会」と繰り返したから、いつもと違う空気を感じている子どもたちがいた。
 それを感じ取った同監督は、花園での初戦(対札幌山の手)の前に部員たちに伝えた。

【宮城博監督の金言】

「君たちは、自分の名誉のため、名護高校の名誉のために戦えばいいんだぞ」
 そう声を掛けられた宮城寛爾主将は「スーッと気持ちが落ち着きました」と話した。

 ともに指導する和田樹コーチは、同監督のことを「子どもたちと一緒にグラウンドに立ち続けることが大事。それが信念で、すべてを投げ出して、ひたすら毎日グラウンドに立った。『あれをやっとけ』と言って、自分はいないということはなく、会議があっても、終わるとすぐに駆けつける」と話した。

「うん、それがいちばん大事。子どもたちの練習前、練習後の表情や行動を見ていると、すべてが分かります」(宮城監督)

 長い指導生活を振り返って言った。
「時間が経てばいろいろと思い出すこともあるかもしれないけど、いま浮かぶのは、(目の前の)この子たちのことだけ」


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