ワールドカップ 2020.06.05
【ラグリパアンケート結果】 もう一度見たい!ワールドカップ名勝負は?

【ラグリパアンケート結果】 もう一度見たい!ワールドカップ名勝負は?

全スタジアムが満員だった。地元の子どもたちが出場20か国のアンセムを歌った。国々と日本の交流は大会後もほのぼのと続く。第9回まで重ねたラグビーワールドカップの歴史においても特別な大会となった2019年ラグビーワールドカップ日本大会。この日本でも多くの人がラグビーに関心を持った。コロナ禍の今こそ、ラグビーワールドカップの歴史とジャパンの歩みを振り返ろう。今回は、ユーザーへのアンケート・ランキングでオールタイムの名勝負を振り返る。 *アンケートにお答えくださったユーザーの皆様、たくさんのコメントをお寄せいただき、ありがとうございました!

[ 編集部 ]

3位◉2003年大会決勝 オーストラリア 17-20 イングランド
「貴公子の右足が一閃」

2003年大会決勝、ジョニー・ウィルキンソンのドロップゴールは語り草(Photo : Getty Images)

「両チームディフェンスが良いので見応え」(アダツ/山梨県/15歳)

「やっぱりウィルキンソンのDGに勝るものはない」(あきりん/神奈川県/46歳)

「オジサン軍団イングランド。ウィルキンソンのDG。北半球のユニオンで、唯一優勝」(kawa/東京都/50歳)

 世界のラグビーは4年サイクルが定着、選手たちの身に着けるアイテムにさえ技術の粋が凝らされた。保守の権化・イングランドが、襟のないボディスーツ様のジャージで戦ったのは象徴的だ。ラグビーはフィジカルが極まり、情報化で戦術も均一化。新しい発見には乏しい大会だった。

 が、延長となった決勝は大会史上屈指のドラマになった。

 主役はイングランドの司令塔、ジョニー・ウィルキンソン。対するオーストラリアは、エディー・ジョーンズ監督に率いられ、ラグビーリーグ(13人制)出身選手を育成し起用するなど、万策を尽くして地元開催のファイナルにたどり着いた。

 オーストラリアが追いつき14-14で延長戦に入ったこの試合、記録されたトライは両軍通じて2つだけ。PGによる息詰まるシーソーゲームとなった。延長で3点ずつを加え、17-17で迎えた終了1分前。イングランドのSOウィルキンソンが、なんと利き足と逆の右足で、決勝DGを決めた。イングランドは、準決勝でフランスを24-7で倒した試合もキックによるスコアの意図が明確で、5PG3DGの内容だった。

 延長に入る前のブレーク中には、チームの円陣を離れ、ひとりキックの感触を確かめるウィルキンソンの姿があった。ウィルキンソンは後半にDGを2本、左足で外している。

2位◉2019年大会 日本 28-21 スコットランド
「台風から奇跡の回復。“戦う前”にあった勝利」


昨年大会、ジャパン躍進の象徴的シーン。オフロードパスの連続で最後に稲垣啓太がトライ
(Photo : Getty Images)

「後半、50分頃から終了まで恐くてまともに見れなかった」(たなえつ/奈良県/59)

「死ぬまで覚えていたいし、多くの方に語り継ぎたい。試合終了直前のカウントダウンからの一体感は、生涯もう一度感じることができるかどうか」(ミキティ/大阪府/36)

 決戦は10.13、横浜。

 現在も日本国内に深い爪痕を残す台風19号の猛威が、前夜まで試合会場を襲っていた。

 何かと因縁の深いスコットランドと、初の決勝トーナメント進出を賭けて戦うことになった日本。すでに日本を弱小国と捉える空気はなく、同じく8強入りのかかったスコットランドは、試合前から神経を尖らせていた。もし試合が中止となれば、規約をたどればスコットランドは予選プール敗退となる状況。横浜決戦を控えたスコットランドは開催側を強く牽制していた。

 しかし、日本チームも、大会を支えるスタッフも、心境は別の次元にあった。

 横浜国際総合競技場のスタッフ、大会スタッフは、プライドと長い期間をかけてこの大会のために準備を進めてきた。台風直撃となった10月12日の試合は中止となったが、スコットランド戦の朝、横浜の芝は青々と輝き、泥濘戦を覚悟していたジャパンのスタッフを驚かせた。

 アイルランド戦で手応えを掴んでいたジャパンも準備は万全。13日の決戦の最中、激しいやりとりの中にも、日本選手たちの余裕が感じられたのは、判官贔屓ではなかった。老獪さにスキルも備えたはずのスコットランドに、先制され、追いついて差を広げ勝ち切った大一番は、まさに2019ジャパンの、それを支えた多くの人々の集大成と言えた。

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