海外 2020.06.01

サンウルブズ、豪州版スーパーラグビーへの参戦ならず。全活動終える

[ 編集部 ]
サンウルブズ、豪州版スーパーラグビーへの参戦ならず。全活動終える
3月14日にブリスベン でおこなわれたクルセイダーズ 戦(14-49)がラストゲームとなった。(撮影/松本かおり)



 サンウルブズのスーパーラグビーでの雄姿は、もう見られない。
 7月3日に始まる予定のオーストラリア(以下、豪州)・スーパーラグビーチームによる大会。サンウルブズの参戦についても話し合われてきたが、6月1日、チームの運営法人であるジャパンエスアール(JSRA/渡瀬裕司CEO)が、豪州ラグビー協会から「正式に大会参戦が不可能になった旨、通達を受けた」と発表した。
 サンウルブズがスーパーラグビーから除外されることは、もともと決まっていた。できるだけ長くプレーを続けたかったが、最後の望みが断たれたことになる。

 ジャパンエスアールの出したリリースには、こう書いてある。

◆現在、COVID-19の感染拡大の影響に伴い、日本からオーストラリアへ入国できない措置がとられております。仮に入国が許可された場合でも、選手はトレーニングを開始する前にホテルの個室内で14日間の強制的な隔離が義務付けられており、さらに、チームが12週間滞在するための拠点(キャンプ地)を用意する必要があります。

 このような条件下で、JSRAはオーストラリアラグビー協会、SANZAAR、そしてオーストラリア政府と協力し、サンウルブズが7月3日から始まるとされているスーパーラグビー オーストラリアに参戦するために、6月初旬までにオーストラリアに入国する準備に全力を尽くしてまいりました。

 しかしCOVID-19の影響は大きく、常に状況が変化する中、残された時間でサンウルブズが参戦できる条件が整わなかったため、7月3日からオーストラリアで試合を行うための準備が間に合わないという結論に至りました。
(以上、プレスリリースより)

 新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響を受け、3月中旬から中断されていた2020年のスーパーラグビー。そのまま何もしないのであれば、放映権料やスポンサー収入も見込めないこともあり、SANZAAR(スーパーラグビーの運営団体)や各国協会、各チームは、状況の沈静化を見ながら対応策を練り続けてきた。
 状況が好転したとしても国境を越えることは難しいから、それぞれの国内チーム同士で戦うことを軸にプランが考えられた。

 ウイルス感染の収束が近づき、ロックダウンも解けたニュージーランドが、6月13日に同国内5チームで戦う「アオテアロア」を開始する。
 豪州でも同様の大会開催を考え、参加時期、参加チームについて検討が重ねられてきた。
 参加チームは、ブランビーズ、レッズ、レベルズ、ワラターズの4チームに加え、豪州カンファレンスのサンウルブズ、2017年シーズンまでスーパーラグビーチームだったウェスタン・フォースの6チームで暫定リーグを構成する案を優先に調整が進められた。結果、国内西部のパースを拠点に活動するフォースは参戦し、サンウルブズの参加は実現しなかった。

 多国籍軍のサンウルブズの選手たちは、リーグ中断とともにそれぞれが自国に戻ったものの、オンラインでつながっての合同トレーニングなど、コミュニケーションとモチベーションを維持してきた。
 しかし、ふたたび戦いの場に復帰する機会は訪れず、5月30日に実施したオンライントレーニングが最後の活動となる可能性が高い。

 サンウルブズは2016年シーズンからスーパーラグビーに参戦した。5年の参加が約束されており、延長可能か否かは、状況を見ながら交渉していくことになっていた。
 しかし、リーグへの参加チームが増えたことで実力差の開いた試合も増え、競争力の低下がファン離れを呼んでいるとの声もあがった。在籍期間が延長されなかった理由のひとつがそれだった。

 それでもサンウルブズは日本国内で新たなファン層を生み、ホームゲームでの観客動員数は他国に比べて悪くなかった。ランニングスタイルの戦い方も海外で支持され、リーグへの残留を希望する声もあった。
 初年度の1勝から、2年目は2勝、3年目は3勝と勝ち星を伸ばし、昨年は2勝。今季は開幕のレベルズ戦で勝利を挙げるも、その後は5連敗を喫した。
 この5年間の通算成績は9勝58敗、1引き分けだった。

【渡瀬裕司CEOからのコメント】
 このような結果となり、サンウルブズの試合再開を楽しみにお待ち頂いていた皆様には、その願いを叶える事ができず、残念なご報告となりました事をお詫び申し上げます。
 今回の決定を受け、5シーズンに渡り参戦したサンウルブズのスーパーラグビーへの挑戦は終わりを迎える事となります。このような形でシーズンを締めくくる事となり、大変悔しい思いではありますが、世界で最もレべルの高いラグビーのリーグに参加できたことは大変光栄であり、名誉あることだと感じています。
 いつもご支援頂いておりますスポンサー・サプライヤーの皆様、ファウンダーズクラブの皆様、サポーターの皆様、メディアの皆様、我々サンウルブズを応援してくださったファンの皆様、5年間、本当にありがとうございました。そしてこれまで、サンウルブズのために、日本ラグビーのために戦ってくれた全ての選手とスタッフに、心より感謝を申し上げたいと思います。

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