廣瀬俊朗が率いるスクラムユニゾン、ヤマハスポーツ振興財団から表彰
スクラムユニゾンの功績が特に話題になったのは昨年9月25日のワールドカッププールD、フィジー対ウルグアイ戦だ。スクラムユニゾンの動画を見てウルグアイ国歌を覚えた日本人のエスコートキッズが選手とともに声高らかに国歌を歌い切り、これがチームに勢いをもたらす。格上のフィジーを30-27で撃破するという大会屈指のアップセットの一因となった。
「ワールドカップ期間中はスクラムユニゾンの一員としての活動ができなかったのですが、解説をした試合などでエスコートキッズがキャプテンの横で一緒に歌ってくれているのを見て、本当にうれしかったのを覚えています。フィジー対ウルグアイは特に感動しましたね」(廣瀬さん)
スクラムユニゾンの功労者は彼らだけではない。企画やデザインのクリエイティブ面で活動を支えたコピーライターの吉谷吾郎さん、完成度の高い動画の数々を仕上げた橘田智緒さんとアシスタントの丸岡知恵さん、プロモーションやマネジメントを担当した北川茉以子さんを合わせた計7人によるユニットだ。このメンバーだからこそ成功した、と廣瀬さんは振り返る。
「ラグビーの精神を知っている2人がシンガーをやってくれたことはもちろん、コアメンバーがラグビーに精通していたこと、何よりみんながワールドカップを盛り上げたいということに賛同してくれたことが大きかったですね。アイデアは僕が最初に出しましたが、動画制作についてはまったくの素人で実行するノウハウがなかったので、感謝しかありません」(廣瀬さん)
スクラムユニゾンはワールドカップ日本大会終了後も地道に活動を続けており、引き続き動画を制作、公開中だ。視線はすでに来年に向けられている。
「今回の受賞は今後の活動の弾みになりました。ワールドカップもありましたが、来年のオリパラに向けても勇気をもらえたと思っています。その直前には関西でワールドマスターズゲームズも行われますので、そこに向けて自分たちがやれることをやっていこうと考えています。このまま毎年、着々と活動を積み重ねていきたいですね」(廣瀬さん)
新型コロナウイルスの影響で今季のトップリーグは幕を閉じ、開催予定のテストマッチも延期や中止の可能性をはらんでいる。外出自粛が続く先行き不透明な状況ではあるが、今回の受賞によりさらに評価が高まったスクラムユニゾンの動画を見ながらラグビーの再開を願い、テストマッチをはじめとする試合の日を待つのも、ファンにとって楽しい過ごし方になるのではないだろうか。
(文・写真:齋藤龍太郎)