国内 2020.04.09

NTTドコモに努力家の「元5年生」。専大卒・坂本洋道が歩んだ「ハード」な道のり。

[ 向 風見也 ]
NTTドコモに努力家の「元5年生」。専大卒・坂本洋道が歩んだ「ハード」な道のり。
専修大時代の坂本洋道(中央)。写真は2018年の関東大学リーグ戦1部開幕戦から(撮影:松本かおり)


 この春、専大ラグビー部を巣立った坂本洋道は、ラストイヤーの2019年度を大学5年生として過ごしていた。

 2015年に入学の好漢は、実質的に4年目のシーズンにあたる2018年度は「3年生」として登録され、加盟する関東大学リーグの1部に初挑戦。身長173センチと決して大柄ではないものの、FLとして強烈なインパクトを示す。

 運送業に携わる父の光義さんの影響で、幼いころから身体を鍛えてきて大学生になっても筋力トレーニングが趣味。芝では図太い筋肉をタックルと突進に活かした。1部残留を決めたのだ。

 そして5季目の春から夏にかけては、控え組に回った。当時の4年生と首脳陣の討議の結果、本格的にメンバーに絡むのはシーズンが深まってからとなった。

 上級生が下級生の生活態度を指摘すべきシーンに出くわしても、「もう、言える立場ではない。最上級生に任せる」。まずは、自身より1学年下の4年生が動くのを見守った。

 結局、リーグ戦では7試合中6試合に出場し、うち1試合では先発。昨季参戦を余儀なくされた入替戦も回避した。初期の段階でこう述べていた。

「自分らの代も後輩に負担をかけないようにしようと話し合っていましたが、今年はそれ以上に4年生が動いていて、いいチームが作れています。練習中も1年生が意見を言う時があって、下級生が生き生きしている。上級生が『先輩だぞ』みたいなオーラを出していないのがいいんだと思います」

 坂本が長い学生生活を送った理由のひとつは、トップリーグ参加クラブからの誘いを受けるためだった。5年目の早い段階で、2019年度に2季ぶりのトップリーグ復帰を果たすNTTドコモの内定を勝ち取る。同部リクルーターの勧めで、大阪での練習に参加し首脳陣のお墨付きを得たのだ。

 新天地では、スクラム最前列のHOへ転向すると決めていた。そのため学生生活最後のシーズンも、コンバートに必要な増量に挑みながらもとのポジションで試合に出ていた。

「向こうのヘッドコーチの方には98~99キロ(2018年度の公式体重は97キロ)にしろと言われましたが、僕としては100キロを目指して、ハードにやっています」

 炭酸飲料や菓子を遠ざけ、丹念に筋肉を育んできた努力の人。年齢制限のない舞台でもパワフルに駆ける。

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