日本代表 2020.03.23

ジュニア・ジャパンで好スクラム連発。近大の紙森が世代別代表で学んだこととは。

[ 向 風見也 ]
ジュニア・ジャパンで好スクラム連発。近大の紙森が世代別代表で学んだこととは。
パシフィック・チャレンジのトンガA戦でボールを手に走る紙森陽太(Photo: Fiji Times)


 ラグビー日本代表の予備軍に位置づけられるジュニア・ジャパンは3月、フィジー・スバでのパシフィック・チャレンジでトンガA、サモアA、フィジー・ウォリアーズを相手に全勝優勝。的を絞らせぬ攻撃とともに際立ったのは、一枚岩のスクラムだった。

 組み合う前からFW8人が所定の動作で低くまとまり、組み合う瞬間、足元に球を転がす間もその塊を保持しているような。相手とのがまん比べを制し、最終的には反則を誘うことも多かった。

 最前列の左PRには紙森陽太が入った。身長172センチ、体重103キロというサイズで大きな対面が構えるより低い位置で姿勢を取り、後ろからの押しを伝える。

 2019年もジュニア・ジャパンでも主力格。同年には20歳以下(U20)日本代表にも入り、ブラジルでのワールドラグビーU20トロフィーに出て優勝した。当時を回想する。

「チームメイトの皆もレベルが高く、それに影響されて自分の課題もわかって、活躍できた部分もある。とても成長できたと思っています。日本のスクラムは低さがあるんですけど、大会に出たチームは大きく、高いスクラムをパワーで組んでくる。そこで日本の強みを活かした。いける、いけるという感覚はありました」
 
 大阪桐蔭高時代には高校日本代表、U17日本代表として活躍した。近大経営学部経営学科では、少なくない体育会学生が苦労する授業や試験でも「授業で話を聞いて、課題も出して、(試験で)出そうなポイントを押さえて試験に挑むと。まあ、普通のことなんですけど」と、1学年で40単位を取得した。

 力強さに加えまじめな性格にも定評がある背番号1は、昨季から水間良武監督が率いるジュニア・ジャパン、U20日本代表で「リカバリー」の重要性も感じ取ったという。

 「リカバリー」は運動後に心身を回復させたり、運動以前の能力を獲得したりするまでの過程だ。紙森は活動期間中にトレーナーから助言を受け、コンディショニングのため身体にあてる専用のボールなどで筋肉をほぐすようになった。万全の状態でグラウンドに立つための手法をひとつ、ひとつ学び取ってきたという。

 列強国のフロントローに比べてやや小柄な若者が、持ち前の頑丈さと勤勉さを国際舞台に提出する。

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