3年ぶりの大舞台は大敗も、SO小倉順平は飢えた狼であり続ける。
15-62。
サンウルブズは2月29日、ニュージーランドのネイピアでハリケーンズに大敗した。今季の成績は1勝3敗となった。
先制トライこそ奪うも相手に10トライを許した。開幕戦で36-27とレベルズに勝った以降は、チーフスに17-43、レッズに5-64、そしてハリケーンズ戦と、ディフェンスの乱れが目立つ。
開幕前に描いた勝利のイメージ、「30点を奪い、接点を勝ち切る」を実現できたのは初戦だけだ。
あらためて課題が明確になったハリケーンズ戦。その中での僅かな収穫のひとつがSO小倉順平の存在だったか。
80分ピッチに立ち、自らよく仕掛けた。鋭く防御の裏に出て、好機を作りかけたことが何度かあった。チームと過ごす時間がもっと長くなれば、周囲の力をもっと引き出しそうだ。
立ち上がり、ラインアウトからの攻撃でパスを受けた小倉は視野の広いプレーを見せた。自分のトイメンを見たまま、内側に切れ込んだWTBシオサイア・フィフィタにボールを渡す。弾丸ランナーをビッグゲインさせた。
これが前半3分過ぎに奪ったLOマイケル・ストーバークのトライを呼ぶ。自らも1ゴール、1PGを決めて5得点を挙げた。
所属していたNTTコミュニケーションズを退団。退路を断ち、シーズン開幕後にサンウルブズに加わった。
スーパーラグビーでのプレーは3年ぶりだった。サンウルブズに所属した2017年は9試合に出場し、そのうち2試合で先発。今回は同年第17節のブルーズ戦以来(そのプルーズ戦は秩父宮ラグビー場で48-21と勝った試合)の出場で、先発は同年第15節のライオンズ戦以来。この日でスーパーラグビーでの通算出場は10試合となった。
試合を終え、小倉は「改善すべき点が多い試合だった」と振り返った。
連係が乱れてディフェンスを崩され。攻撃が継続できなかった。「小さいコミュニケーション」が取れなかったことを悔やむ。
「マイボールになったときのFWとのコミュニケーションが足りませんでした。何よりもアタックし続けることができなかった」
ただ、司令塔が下を向いていたらチームは前進しないと理解しているから前を見つめる。「準備できているものが出せた時はいい形ができる。アタックの時間を増やせるようにしたい」と、背番号10を背負う者としての責任感を口にする。
久々のスーパーラグビーの舞台に立ち、刺激に飢えている自分を感じる。
「ハングリーです。常に自分とチームが成長できるようにしたい」の言葉には、リスタートを切った27歳の意欲と覚悟がにじんでいる。