コラム 2020.02.28
【コラム】意思決定には二層ある

【コラム】意思決定には二層ある

[ 向 風見也 ]

――延期という決定に関して。

「亡くなっている人もいる。簡単に開催しますというわけにはいかなかったと思う。ラグビーの試合より、命を大事にするという判断。しょうがないところです。僕たちは再開するであろうという試合に準備するだけ。選手としても、病気に気を付けることを徹底したいです」

――チームミーティングでは何と。

「どこへ行っても(新型コロナウイルスが)流行っているところなので、予防できるところはしっかりして、むやみに外へ出ないというところが一番いいと思うので。あとはまぁ、アスリートとして(試合がない間も)身体を動かさなきゃいけないので、クラブハウスと家の行き来がメインになります」

――チームは急遽、数日間のオフを設けたようです。再開後は9連戦とタフな日程が組まれます。

「オフと言っても、シーズン中ではある。次に(対戦が)予定されているキヤノンの分析であったり、いまできることをする。どんなチームでも9連戦はきつい。これからどんな選手を使っていくかは監督が決めると思いますが、(コンディショニングの観点から)全ての選手にチャンスが回ってくる。タイミングとしては不謹慎に聞こえるかもしれませんが、モチベーションを上げている選手もいると思います」
 
 今度の決定に私見を挟まず、あくまで一競技者としての健康管理を徹底したいとする。

 リーグ戦再開へ「いまできること」を整理する。

 周囲に気を配って「不謹慎に聞こえるかもしれませんが」と前置きをしながら、連戦のさなかに出場機会を得られる若手の意気込みを好意的に捉える。

 改めて、よい意思決定は「A,置かれた状況を正確に把握する」「B.Aを踏まえ、自分(自分たち)にしかできない自分(自分たち)のすべきこと信念に基づいて決める」の二層構造で作られているのではと再確認させた。

【筆者プロフィール】向 風見也( むかい ふみや )
1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年よりスポーツライターとなり、主にラグビーに関するリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「スポルティーバ」「スポーツナビ」「ラグビーリパブリック」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)。『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(共著/双葉社)。『サンウルブズの挑戦』(双葉社)。

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