海外 2020.02.15

小倉順平が胸中を語る。NTTコム退団、スーパーラグビー挑戦、そして日本代表への熱い思い。

[ 森本優子 ]
小倉順平が胸中を語る。NTTコム退団、スーパーラグビー挑戦、そして日本代表への熱い思い。
「サンウルブズで全身全霊を懸けて頑張ります!」と誓った小倉順平(撮影:BBM)


 2月14日、NTTコミュニケーションズは、シャイニングアークス所属のSO小倉順平の退団と、サンウルブズへの移籍を発表した。15日には、サンウルブズからも加入が発表された。14日夜、チームホテルに合流した本人に聞いた。

「契約上の問題です」
 シーズン途中での退団となった理由を本人はそう説明する。NTTコムには在籍5年。3年目からはプロ選手となっていた。
「退団は本人の意向でもあります。“中途半端に夢は終えない”と。会社としては時期をずらすことも提案したのですが、最終的に本人の希望を汲んで後押しすることにしました」(NTTコム・内山浩文GM)

 退路を断っての挑戦となった。
「まずチーム関係者にありがとうございます、と言いたい。この時期の退団は、チームに対してとても失礼なことだと思ってます。でも僕がチャレンジしたいということで、最終的に背中を押してくれた。スタッフ、選手、浦安の方々には本当によくしてもらいました。いつか恩返しができれば」

 サンウルブズには2017年にも参加している。そうまでして参加したかった理由は何なのだろう。
「スーパーラグビーにチャレンジできるチャンスが、この先あるかどうかわからない。スーパーラグビーでは普段対戦できない相手と試合できる。そういう機会があるなら、間違いなく取りに行くべき。今回はそのチャンスを取りに行った感じです」

 1シーズン、サンウルブズを経験したことで「タフになった」と認める。
「大変な思いもしたけど、日本にいたら感じないことがたくさんありました。ひとつの勝ち、ひとつの負け…1試合への思い入れが全然違う。言葉に表すのは難しいんですけど、チャレンジしたい気持ちがとんでもなく大きかった」

 踏み切らせたのは、昨年のワールドカップも影響している。小倉もテレビの前で観戦し、日本代表を応援し、仲間と歓喜に沸いた。そして奮起した。
「日本代表を目指さなかったら、こうはなってない。ワールドカップ後から考え方が変わったかもしれません。うまくなるために、良くなるために何が必要か、これまで以上に考えるようになりました。正直、今のままだと足りない。考え方が凝り固まっていると感じる。違う成長、違う感じ方をしないと。23年(ワールドカップ)を目指すと言ってたら、間違いなく遅い。そんなに先延ばしにはできない。まず6月のスコッド入りを目指します」

 現在27歳。1日も無駄にできないという思いは強い。
 10番としてこれから頭に入れるべきことは多い。現在のサンウルブズの正司令塔であるガース・エイプリルはNTTコムに1シーズン所属、よく言葉をかわしていた間柄でもある。
「チームは僕が以前いたときより外国人選手が多い。そこを崩していければ。木村(貴大)くんや齋藤(直人)くん、ガースとたくさん話すようにして、チームのやるべきことを早めに落とし込みたい。慣れる以上に勝利に貢献すること。まず試合に出るために何が必要か。チームが勝つために何が必要か、突き詰め続けるしかない」

 サンウルブズに、また熱い思いを抱いた仲間が加わった。

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