コラム
2020.01.04
【コラム】14人からの戦い
【キーワード】城東高校
ワールドカップが成功した日本ラグビー界では、開幕前からの課題が依然として横たわっている。そのひとつが競技力の地域格差だ。
競技人気が高い一部の地域の強豪校が専門家のトレーニングと優秀な選手のリクルートの掛け算で白星を伸ばすのに対し、部員や練習場所の確保に苦しむチームは後を絶たない。花園では1〜3回戦で多くのワンサイドゲームが起こる傾向にあり、今季は100点以上の差がつく試合が1回戦で2つもあった。大会方式の見直しを訴える関係者もいるが、伊達監督はあくまで自分にベクトルを向ける。
「人数が少ないから、公立だからっていう言い訳をしたくなくて。指導者がこんなことを言うのもなんですけど、気持ちの部分も大きい。まず気持ちを上げて、こっちができる最高の準備をしてあげて、きょうの前半のようなゲームを60分間、していきたい。選手はよく頑張ったので、我々スタッフがしっかりやっていきたい、というのがありますね」
こう口にしたのは、日本航空石川に敗れた直後の会見時。話すうち、透明の涙が頬をつたった。
「3年生に最初に伝えるとしたら、ありがとうです。選抜大会から始まり、色んな景色を見させてもらって、怪我も多くてしんどい時期もあったんですけど、本当に…充実していたかなと。…すみません。もう1個、本当は、勝たせてやりたかった…」
味わい深い時間を過ごし、結果的にワールドカップ戦士の心を打った城東。地元へ帰れば、残された14人で新チームを始動させる。