コラム 2020.01.04
【コラム】14人からの戦い

【コラム】14人からの戦い

[ 向 風見也 ]
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 3戦あるうちの予選プール初戦では、留学生のいる札幌山の手と激突。県勢16シーズンぶりの同大会勝利を挙げる。終盤に追い上げられながら28−22と逃げ切る形で、伊達監督は「実質的に14人でやっているので、最後はどうしてもばてるんですよ」と明かした。もっとも15人目にあたる齋藤も、ハートに火をつけていた。続く東福岡戦を12—97で落とすと、自らクラブ共有のI padで試合映像をレビュー。正規部員から意見を募った。
 
 予選プール最終戦では、大学ラグビー界の古豪とリンクする慶応を21—15で下した。最終的には「一度やると決めたことは最後までやりたい」とテニス部へ戻る齋藤も、「楽しい気持ちが強くて、ホンマに60分(試合時間)が短かった」と笑った。
 
 試合後は、敗れた慶応の選手が伊達監督のもとへ訪れる。

「あの…人数が足りないなかで練習されていると聞いたのですが、どのように…」

 話しているうちに悔しさがこみ上げたのか、「絶対、勝てると思ったんですけどぉっっ!」と泣き出してしまった。その時の様子を問う記者に、伊達監督は「あの(質問に来た)子は将来、伸びますよ」と応じた。
 
 受難の季節は終わらない。複数の選手が10月の県予選を見据えて手術を決断したため、公式戦には未経験者も含めた1年生を起用する。さらに伊達監督が「これ以上、怪我人は出せない。私生活から気を付けるように」と訓示した矢先、アウトサイドセンターの渡辺開世が登校中の交通事故で意識不明の重体となる。最後は懸命なリハビリで奇跡の復活を遂げるのだが、報せを聞いた時は気が気ではなかったと伊達監督は言う。
 
 かような物語の最終章が、3年連続13回目となる花園出場だった。開幕前の12月中旬には中国電力との合同練習を実現させ、新潟工の得意なモールへの対策方法を練る。さらには同じ四国の高知中央とも交流を図り、普段はできない相手をつけた練習ができた。

 FWの選手を左右、中央に満遍なく配置するオーソドックスな攻撃方法をベースとし、フットワークのいいフランカーの伊藤優汰副将を外で待たせるなど、個性を活かす工夫が見られるような。新潟工を制した初戦では、個々の顔が見えるアタックが応援に駆け付けた在校生を沸かせた。

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