日本代表 2019.12.04

松島幸太朗が見る日本代表首脳の「やりきるメンタル」とは。

[ 向 風見也 ]
松島幸太朗が見る日本代表首脳の「やりきるメンタル」とは。
所属するサントリーサンゴリアスのグラウンドで写真撮影に応じる松島幸太朗(撮影:向 風見也)


 ラグビー日本代表としてワールドカップ日本大会で5トライを挙げた松島幸太朗が、指揮官の信念に畏敬の念を抱いた。

 12月某日の取材機会で、プレースタイルの転換に話題が応じた時だ。

 2015年までのエディー・ジョーンズ ヘッドコーチ時代と違い、ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは積極的にキックを用いるべきと強調。主要な攻撃陣形も変え、前任者時代には禁じ手にも近かったオフロードパスも推奨した。

 2017年6月の対アイルランド代表2連戦では、選手のコンディショニングや戦術の定着度合いに課題が見られて2連敗。しかし首脳陣は、最後までスタイルを貫徹。ワールドカップでは試合ごとにキックとランの分量を差配するなど柔軟性を示し、プールステージ4戦全勝。一連の流れを、松島はこう振り返るのだ。

「それまで(ジョセフ ヘッドコーチ就任前)と真逆のことをやっていたので、最初はそれが合わないなという意見もありました。それでもジェイミーは自分たちの戦術、採り入れるものの自信を持ちながら自分たちに訴えた。結果的にはオフロードパスであれば、そのスキルが(試合で)できたし、キッキングゲームも最初に比べれば間違いなくうまくなっていました。どこで蹴るかも皆、考えながら取り組めていたので、キックする時の反応もこの数年間で大きく変わった気がします。(首脳陣は)自分の考えを曲げずにやっていた。やりきるメンタルが強かった。ここは数年キック中心にやってきながら、ワールドカップで急にポゼッションを獲るようにするなど急に(試合の進め方を)変えることもあって、その時も皆は『よしやるぞ』という感じになった」

 大会中、自身は本職のFBと違うWTBで先発してきた。「これがワールドカップじゃなかったら、FBをやりたいという気持ちを伝えていましたけど、ワールドカップという舞台は特別なところだった。そこを妥協することも必要ですし、それはまぁ、呑み込んでやっていました」と振り返る。

「後半途中からFBに入ることもありましたし、ポジションが変わってもすぐ対応できるようになったところは成長したところでもある。WTBとしてトライを獲りきるところ、ゲインを稼いでチームに勢いを与えるという意味でも成長できた」

 2020年はサントリーで大暴れを誓うかたわら、欧州挑戦も視野に入れる。

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