国内 2019.12.03

桜をつけ奮闘した若き“仕事人”ジェームス・ムーア、サニックス本社で笑顔のW杯報告。

[ 竹中 清 ]
桜をつけ奮闘した若き“仕事人”ジェームス・ムーア、サニックス本社で笑顔のW杯報告。
サニックスの宗政寛社長(左)から祝いの酒と花束を贈られ笑顔のジェームス・ムーア(撮影:Rugby Republic)


 ラグビーワールドカップ2019で日本代表ロックとして初のベスト8入りに大きく貢献したジェームス・ムーアが、約1か月の休暇を終え、所属する宗像サニックスブルースの本拠地である福岡に戻り、12月3日、サニックス本社を訪問し宗政寛社長にワールドカップ出場報告をおこなった。

 休暇中はガールフレンドとフィリピンやスリランカを旅行するなどリラックスしていたというムーアは、しっかり充電できたようで、表情は明るかった。この日、多くのサニックス社員に温かく迎えられ、ワールドカップでの奮闘が「みんなに喜んでもらえてよかった」と笑顔。「自分が住んでいる大好きな福岡からもたくさんの声援をいただいて、力になった」と改めて感謝した。

 ムーアはオーストラリア出身の26歳。東芝ブレイブルーパスで2年過ごしたあと、2018年からサニックスの一員となり、今年7月のフィジー戦で日本代表デビューを果たした。ワールドカップでは、ロシアとの開幕戦から準々決勝の南アフリカ戦まで全5試合で背番号5をつけ、後半途中交代したスコットランド戦以外はフル出場。全選手中6番目に多い67回のタックルを決め(成功率94%/アイルランド戦は最多24タックル)、セットピースを安定させ、力強いボールキャリアー、密集の激しいファイターになるなど、豊富なスタミナと運動量で献身的に働いた。その奮闘ぶりは、海外メディアの『FOX SPORTS』や『RUGBYPASS』などが大会ベストフィフティーンに選出したほどだ。

ワールドカップでアイルランドに勝ったあと、笑顔のジェームス・ムーア(Photo: Getty Images)

 宗像サニックスブルースの前監督で、今年1月からジェイミー・ジョセフ体制のジャパンに加わり現在は男子15人制日本代表強化委員長としてムーアを見続けている藤井雄一郎氏は、「目立つ選手ではないが、しっかり働く。最も成長した選手」と評価する。

 控えめな若き仕事人は、「ベスト8入りという目標を達成できてとても嬉しい。目立つプレーはできなかったけど、プランを遂行するため、自分の仕事をしっかりやれたと思う。もっといい選手になるために、もっと練習したい」と語った。

 宗政社長は、ワールドカップ期間中は本当に楽しかったと振り返り、「どこに行ってもラグビーの話。会った人みんなに『おめでとう』と言われる。ムーア選手の活躍は本当に嬉しかった。社員の励みになっている」と絶賛。サニックスは、ブルースだけでなく、高校生の世界大会である「サニックス ワールドラグビーユース交流大会」を2000年から開催し続けるなど、ラグビーを長く応援し発展に大きく貢献してきた会社であり、宗政社長は今回のラグビーの盛り上がりが文化として根づいてほしいと願う。「うちのチーム(ブルース)の試合もぜひ観に来てほしい」。

 日本最高峰リーグの「ジャパンラグビートップリーグ2020」は1月12日に開幕。宗像サニックスブルースは、福岡・レベルファイブスタジアムでNECグリーンロケッツと対戦する。
 ムーアは、「たくさんの人たちの熱を感じ、とても興奮している。新しくラグビーファンになってくれた人がこれからも楽しんで応援し続けてくれるように、しっかりプレーしたい」と意気込みを語った。

左から藤井雄一郎 日本代表強化委員長、ジェームス・ムーア、宗政寛社長(撮影:Rugby Republic)

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