【ラグリパWest】2年目の成長。 第56回大学選手権代表決定戦から
試合開始のキックオフ。コステリーがボールを再獲得。SO新里光希が選択したプレーは蹴りだった。小村は呆然とする。
「裏キックなんて練習で1回もやっていない。テンばってしまっていました。もちろん、そうさせてしまったのは私の責任です」
環太平洋大は中・四国では敵なし状態。国公立大が多いリーグ戦では、競った試合を戦えない。チームは積極的に関西に遠征して京産大や近大などAリーグのチームと試合を組む。それでも、やはり初めての大学選手権出場がかった一戦は違った。
町野は170センチ、100キロに満たない体で、左PRとして朝日大との最前線で戦った。後輩たちにフィジカルの強化などを訴えた上で心の結束を呼びかける。
「まとまってほしい。ワン・チームですね。トライを獲られた後、しゃべりたいことがあったらしゃべるというのではいけません」
後半3分、2次攻撃でトライラインを越えられると、そこから大崩れ。6トライを許した。疲労が漂う局面で「我先に」の状況になれば統制はつかず、勝利はおぼつかない。
町野は4年間を総括する。
「負けの悔しさはあるにせよ、今はすっきりしています。自分ではやりきりました。3年の時に小村さんに監督が変わって、戦術や組織がしっかりしてきました」
大阪・高槻一中でラグビーを始め、冬の全国優勝4回、歴代6位の記録を持つ伏見工(現京都工学院)に進んだ。3年時にはレギュラーとして95回全国大会(2015年度)に出場する。3回戦で優勝する東海大仰星に5−41で破れた。
「僕らの学年は28人いましたが、半分は就職しました。僕も高校で燃え尽きた感じがあったのですが、IPUから誘ってもらえたので、ラグビーを続けることにしました。ここに来てよかったです。キャプテンもさせてもらえました」
卒業後はカナダに渡る。ワーキング・ホリデー・ビザを取得して、1年間、現地で語学校に通ったり、働いたりする。
「しばらくラグビーはいいです。10年間やりましたから。これからは英語を勉強して、人生に生かしたいと思っています」
環太平洋大は来年、スポーツ推薦で15人ほどの入部が決まっている。冬の全国大会2年連続8強の報徳学園や初出場を決めた大分東明などから新入部員が集まる。新しい外国人留学生もやって来る予定だ。
町野たち代の一年をよき遺産として、可及的すみやかに大学選手権に至りたい。
なお、勝った朝日大は11月24日(日)の選手権1回戦で東北・北海道代表の八戸学院大と対戦する。会場は同じ長良川球技場メドウ。キックオフは午後1時である。