元日本代表&サントリーの真壁伸弥が現役引退発表 「すっきりした。悔いはない」
日本ラグビーの歴史を変えた2015年のワールドカップメンバーで、日本代表として37キャップを重ね、サントリーサンゴリアス、サンウルブズでも活躍した真壁伸弥が、11月14日、現役引退を発表した。
「長い間、大変お世話になりました。シーズン開幕前というタイミングですが、現役を引退する決断をしました。『日本のラグビーをどうにかしないと』という元日本代表キャプテン(廣瀬俊朗)の言葉に惹かれ、魂を燃やしてきましたが、ロシアとの(ワールドカップ2019日本大会)開幕戦の満員のスタジアムを見て、ラグビーに対しての気持ちはすっきりして、悔いはありません」
ハードワーカーだった32歳のロックは、引退について胸の内を明かした。
「長く日本代表としてやってきて、大事な年にパフォーマンスが落ちたことには悔いもありますが、今回のワールドカップには選手とは違う立場で関わり、いろいろな方々とお会いして、自分のラグビー人生を多くの方に見てもらっていた事実を知れたことは、私にとって大きな財産となりました。今まで応援してくださった皆様には心から感謝しています。今は未来へのチャレンジに対しての期待が大きく、今回のワールドカップイヤーで引退するというのは、自分の人生ではとても良いタイミングだと思っています」
宮城県出身、仙台工業高校でラグビーを始めた。中央大学を経て2009年にサントリーサンゴリアス入団。同年度のトップリーグで新人賞に選ばれ、ベストフィフティーンにも2回(2009、2012年度)選出、トップリーグ優勝4回、日本選手権優勝5回に大きく貢献してきた。
日本代表では、サントリーのルーキーイヤーだった2009年の11月にカナダ戦で初キャップを獲得。2015年のワールドカップでは、強豪の南アフリカ戦で後半途中から出場して体を張り、世紀の番狂わせと呼ばれた終了間際の逆転トライが生まれる前、「ST(スクラムトライ)、ST!」と叫ぶ真壁の顔がテレビに映し出され、その勇敢な姿は多くの人々を感動させた。
真壁は、11シーズン在籍したサントリーサンゴリアスにも熱い思いを持っている。引退のコメントはこんな言葉で締めくくった。
「私の土台を作ってくれたサントリーには、なんと表現して良いかわからない、感謝の念しかありません。どこにいっても自分の居場所として心の中に据えていたサンゴリアス。クラブハウスとトレーニングルームはつらい思い出もありますが、自分の家のように思っていますし、ここでチームの歴史の一部になれたことは生涯の誇りです。私の人生を潤してくれたラグビーとサントリー、そして家族に感謝しています。幸せでした」