中国女子が有力、伏兵にタイ女子浮上。東京五輪アジア地区最終予選展望
ワールドカップの熱気が冷めない中、次は「東京2020オリンピック」(以下、東京五輪)を迎える。東京五輪ラグビー競技(7人制)の出場国(12カ国)が世界中で次々に決まっている。
アジア地区の女子最終予選が11月9~10日、中国・広州市で開催される。8カ国・地域が参加し五輪切符をかけ熱戦を繰り広げる。8カ国は2組に分かれてプール戦を戦い、各上位2チームが準決勝へ進む。プールAは中国、香港、スリランカ、韓国。Bにカザフスタン、タイ、シンガポール、フィリピンだ。今年8月から9月に3大会行われたアジアセブンズシリーズは日本女子がすべて優勝しアジアNO.1の位置を知らしめた。
しかし日本代表も「アジアで勝つことは難しい」と常々語っているように簡単な勝利はなかった。アジアシリーズの結果をもとに、五輪切符への展望を見る。
日本にもっとも近づいたのは中国だ。大型の選手をそろえボールをもらうと一瞬にして相手ディフェンスを抜き去る走力ももつ。初戦の韓国大会決勝は5-19日本、中国大会決勝17-22日本といずれも敗れ2位に終わった。最終戦のスリランカ大会はプール戦でカザフスタンに17-19と敗戦。プール2位通過、準決勝で日本とあたり14-22、3位決定戦でカザフスタンに31-0とリベンジしていた。
スリランカ大会決勝トーナメントで躍動したユ(背番号3、以下背番号)、ワン(8)、大黒柱のツウェン(韓国大会で10)、キッカーを担うチェン(7)らが鍵を握る。
同じプールのライバルは香港か。韓国大会準決勝で両者はあたり19-7で中国が制した。このときは香港で自由を求める市民行動が連日、世界中に報道されていたこともあり両チームに緊張感があった。敗北の香港選手たちは涙だった。
続く中国大会ではプール戦で中国が45-0と圧勝した。
香港は、韓国大会は3位(17-10カザフスタン)、中国大会4位(17-19カザフスタン)。しかし最終スリランカ大会はプール戦でタイに5-22と黒星。結果、下位トーナメントにまわり5位で終えた。
シーモンズ(3)、チョン(9)、チャン(1)らが引っ張る。
プールBはカザフスタン、タイの争いだ。
カザフスタンは韓国大会4位、中国大会3位、スリランカ大会4位。大型選手をそろえているがベテランが多い。2日間の大会では、2日目のトーナメントで息が上がり、足がつる選手が見受けられる。フィットネスが課題だ。
とはいえ中国大会では、プール戦で日本を19-12。さらにスリランカ大会は中国を19-17で制している。スリランカでは準決勝でタイに7-12と足もとをすくわれた。得点源はアスケロヴァ(3)、コイシバイェヴァ(10)、ヌルマトヴァ(2)。
カザフスタンをスリランカで破り初めてファイナルに臨んだタイ。5-26と日本に完敗だが五輪切符へ躍進を見せた。前2大会はいずれも5位。
身長は中国やカザフスタンに比べ低い。しかし重心が低いランは安定感がありディフェンスを倒しながらトライを奪っていた。ワンディー(3)、チョムプミー(6)、ラムラット(9)らのアタックがポイント。
カザフスタンとは韓国大会0-12で敗北、中国大会で12-5と接戦を制すとスリランカでも勝利。2勝1敗の通算成績だ。中国とは、アジアシリーズでは韓国大会のプール戦1試合のみ対戦し、0-24と大敗した。
11月9日、午後5時16分(現地時間)のキックオフでカザフスタンとタイはあたる。勝者が1位通過し準決勝で香港の可能性が大きい。2位通過は中国となり厳しい戦いとなる。
決勝は10日、午後4時30分開始。2位チームは2020年6月の東京五輪世界最終予選にまわる。
これまで女子の五輪出場権は8カ国が得ている。日本は開催国枠。「HSBCワールドラグビー女子セブンズシリーズ2018-2019」の1-4位国からニュージーランド、アメリカ、カナダ、オーストラリア。南米予選(1枠)で前回リオ五輪開催のブラジル、欧州予選(1枠)でイギリスが入った。アフリカからは(1枠)ケニアが出場権を獲得している。
残りは4枠。今週末にオセアニア予選(1枠)も実施される。北米は、アメリカとカナダの2国がワールドセブンズシリーズを通じて出場権を獲得しているため、同地区予選の勝者にはダイレクトに東京行きの切符は与えられず、予選でトップ2に入ったメキシコとジャマイカが世界最終予選に進む。そして、世界最終予選の上位2カ国が東京五輪に参加する。