ワールドカップ 2019.11.02

日本代表・流大が語るワールドカップ決勝戦&デクラーク。

[ 向 風見也 ]
日本代表・流大が語るワールドカップ決勝戦&デクラーク。
ワールドカップを経験し、さらなる高みを目指す流大(Photo: Getty Images)


 ラグビーワールドカップ日本大会の決勝は11月2日、神奈川・横浜国際総合競技場でおこなわれる。前日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ ヘッドコーチ率いるイングランド代表と、今大会初の8強入りを果たした日本代表を準々決勝で下した南アフリカ代表との対戦。開催国にゆかりのあるチーム同士のバトルについて、日本代表SHの流大が語った。

 今大会では、チームが参加した全5試合に先発。解散後の10月31日には、所属先のサントリーのクラブハウス(東京)内で取材に応じた。話題が決勝戦の予想スコアに及べば、「僕の予想は当たらないのですが…」として「…16-8で南アフリカ」と悩みながら答えた。

 イングランド勝利の可能性もにおわせたが、確かなことは「接戦だとは思います。あまりトライを生まれないと思っています」。両軍の堅守を踏まえてか、ひとつのペナルティが命取りとなるタイトなエリアゲームを予感する。

 準決勝は10月26、27日に横浜であった。イングランドは、開始早々の猛攻と1試合を通じてのタフな防御で2連覇中のニュージーランド代表を19-7で撃破。かたや南アフリカは、リザーブにFWを6枚並べる采配も光ってウェールズ代表に19-16と競り勝っている。流は26日のイングランドの試合を生観戦。準々決勝を体験したうえで、4強対決は「また一段レベルが上」と感した。我が身に置き換えて言う。

「ベスト8も、グループリーグとは違う緊張感とインテンシティ(強さ、激しさ)があったと思いましたが、ベスト4はもう少し違うレベル。ここに行くまでは簡単じゃないですし、さらなる努力が必要だと感じました。イングランド代表対ニュージーランド代表戦の前半開始5分の攻防は、試合を象徴するようで。お互いにトランジション(攻守の切り替え)がすばらしく、イングランド代表は最初からニュージーランド代表を陥れるようなプレーをしていて、それでもニュージーランド代表も食らいついて…。あれを僕らの立場に置き換えたら、今後は僕らもイングランド代表のように最初の5分で仕掛けていくようなことが必要だと思いました」

 チャレンジャーとして決勝トーナメントを勝ち上がるには「最初」から「仕掛ける」ことがマストとする流。ゲームを動かすSHとしては、頂上決戦に挑むSHを「SHは個人ありきでは難しいところがある」と見た。

「まずチームがあって、チームを動かしたり、チームの選手がいい働きをしたりすることでそのSHがどうなるかというところもあったので。もちろんベスト4に進んだSHの選手はすばらしいですけど、その前にチームがどうあるかという方が大事だと思いました。イングランド代表対ニュージーランド代表戦でも、『SHはもっとテンポを上げたいだろうな』と思うシーンがあると僕は感じたんですけど、ブレイクダウンでプレッシャーを受けたり、いいクリーンアウトができていなかったりする時はどうしてもテンポが落ちてしまう。それははたから『SHのテンポが遅い』と見られる。もちろんSHの技術でどうにかなることはあるんですけど、そうじゃないこともある。チームのメンバーがいい働きをして、SHのプレーがよくなる。逆に自分のプレーがよくなれば、チームがもっとよくなっていくというのが、9、10番とチームとのバランスだと、僕は思っています。あとはなんでそこでキックするんだと思われそうなところでもチームにはしっかりとした意図があって、それがその後の試合にどんな影響を及ぼすかは、彼ら、僕ら(試合をしている当事者)にしかわからないところ。そういうのを、準決勝を見て感じました」

 流が優勝を予想する南アフリカ代表では、タフな防御とランが長所のファフ・デクラークが正SHに入る。流は実際に対戦した印象を踏まえ、この戦士を「やっぱり嫌な選手ですね」と認める。言葉の節々には負けじ魂をのぞかせながらも、相対的には好敵手の凄みを讃えた。

「(攻撃中はデクラークの防御が)常に視界に入ってきます。日本代表にスピードのある展開をされると嫌だというのを向こうもわかっていて、パスを出した後にも僕をグラウンドに倒してきたり、僕や(田村)優さんに対してもレイト気味のタックルを狙ったりしていました。紳士的にやるのがラグビーのよさではあると思いますが、実はそうでもないことがあって。これからは相手に嫌がられること、相手をあざむくことをやっていくのも大事になります。ただ単にいい子でいいプレーをし続けるだけではなく、もっと相手に嫌がられる、嫌われるプレーを目指していかないといけない」

 現在の流は、12月のチーム合流に向け静養中。1月中旬からは国内トップリーグに専念しそうで、スーパーラグビーに参戦するサンウルブズへは加わらない見込みだ。2023年のワールドカップ・フランス大会を見据え、バージョンアップを図る。

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