コラム 2019.11.01
【コラム】今後とも何卒

【コラム】今後とも何卒

[ 成見宏樹 ]

 

 姫野和樹(愛知・春日丘1年→帝京大→トヨタ自動車) 
 徳永祥尭(関西学院→関西学院大→東芝)
 流 大(荒尾→帝京大→サントリー)
 松田力也(伏見工1年→帝京大→パナソニック)
 福岡堅樹(福岡→筑波大→バナソニック)
 松島幸太朗(桐蔭学園→シャークスアカデミーなど→サントリー)
 *学年なしは3年生

姫野和樹(愛知・春日丘1年→帝京大→トヨタ自動車)
徳永祥尭(関西学院→関西学院大→東芝)
流 大(荒尾→帝京大→サントリー)
松田力也(伏見工1年→帝京大→パナソニック)
福岡堅樹(福岡→筑波大→バナソニック)

 年代を代表する選手たちなので当然か。そうではないと思う。8年前の高校トップ選手が今もトップである例は稀だ。しかも、2019大会日本代表のうち、日本の高校出身者は20人を切る(そこにも別の価値はある)。その3分の1弱を、第90回大会の出身選手が担っている。

 たまたま、自分も当時の誌面作りにあたっていたから懐かしい。ライターで選手の才能に眼ききの直江光信さんに候補を選んでもらったんだった。当時の存在感と今の堂々たる姿に隔たりがある人もいるし、もう同年代ではトップ中のトップだった人もいる。この時、すでに日本開催は決定していたけれど、2019年の今の景色を、2011年の彼らから想像することは難しかった。

 この事柄には一つの示唆がある。選手を育てた人たちの素晴らしさだ。いやあれは指導ではなくて、才能でしょ、という見方もできるけれど、才能とは育った環境だと思う。環境で最も大きい要素はコーチや対戦相手を含む仲間、家族だ。

 例えば大学のリクルーターは高校生のタレントを探す。高校の監督は中学生の才能に目を凝らす。中学のコーチたちは、「あの感覚は教えてできるもんじゃないよな」と教え子の長所に目を細めたりするだろう。
 
 だけど、その才能はやっぱり、初めの初めからあったのではなくて、どこかの段階のある朝に、突然、ぴょこっと芽を吹いたものだ。

芽が出る要素がそこに、あったはずだ。

きっかけはコーチの方針かもしれないし、仲間の何気ない言葉だったかもしれない、家族との日々の中で受け取ったものも、相当に大きいだろう。無意識に磨かれた素養の場合もあるし、社会人になって発露したものが売りになる選手もいる。

植物でいえば、しなやかな幹や根っこや、それをかつてふんわり包んでいた土があって、てっぺんに2019の花が咲いた。この選手たちには、得難いことがたくさんあったんだろうと思う。

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