準々決勝へ充実の日本代表。ジョセフHC「南アが何をしてくるか、わかっている」
「9月の試合はリハーサルと言っている。南アフリカにとってはウォームアップゲームかもしれないが、今は準々決勝で対戦することになった。こういうことは過去のワールドカップではなかったと思う。我々にアドバンテージになっていると思う」
ラグビー日本代表をワールドカップで史上初めてベスト8に導いたジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは、南アフリカ代表との準々決勝を2日後に控えた10月18日、都内での記者会見でそう言った。ワールドカップ開幕前の9月6日に埼玉・熊谷ラグビー場でおこなった同チームとのテストマッチは7-41と完敗したが、悲観などまったくしていない。
南アとの通算戦績は1勝1敗。4年前の前回ワールドカップで初対戦したとき、エディー・ジョーンズ(現 イングランド代表ヘッドコーチ)率いるジャパンが試合終了間際の逆転トライで金星を挙げ、スポーツ史上最大級の番狂わせと呼ばれた。
しかし、2016年9月から指揮を執るようになったジョセフ ヘッドコーチは、2015年の南ア戦勝利にはまったく触れていないという。
「どちらかというと、この4年間何度も繰り返し話され、自分としては忘れたかった話。まったく違うチームで、かぶっている選手もいるが違う選手が新たなチームをつくったと思っている。2015年の偉業はすばらしいが触れていない」
かつてニュージーランド代表として南ア代表“スプリングボックス”と何度か対戦し、 1995年のワールドカップ決勝でも戦った経験があるジョセフは、誇り高きグリーン&ゴールドジャージーの男たちの強さを知っている。
「個人的に南アフリカはラグビープレーヤーとして最もリスペクトしていた。ニュージーランドと南アフリカは長年のライバルで、子どもの頃から肌で感じていた。オールブラックス(ニュージーランド代表)として南アフリカとの対戦は最高の機会。3、4回対戦したが、毎回すばらしくエンジョイした。南アフリカが何をするかわかっているし、選手にも伝えている。フィジカルに来るとわかっている。20年前と今はフィジカルが違う。より速くなってフィジカルになっている」
南アが何をしてくるか、それはセレクションを見ればわかるというジョセフ ヘッドコーチ。控えに6人のフォワードを入れているのだ。
「珍しいことではないが、フィジカルでダイレクトなアプローチで押しかけてくる。相手にボールを渡してフォワードのディフェンスで相手をつぶして勝機を見てくる。我々はそれに対してしっかり準備をしてきた。明確でないのは我々が相手に何をするのか。それが楽しみ」
日本のベンチには、スコットランド戦を欠場したLOヴィンピー・ファンデルヴァルトとNO8アマナキ・レレイ・マフィが入る。
「フィジカルのところでかなり圧力がかかる。タフなフォワード戦になるということで彼らを起用した。そこで実力を発揮した実績がある」
この5、6週間で日本代表の選手たちは成長したと語る指揮官。
「選手たちが自分たちでチームを引っ張っていく気持ちになっている。やりきって自信を持っている。メンタル的にも自信があるし、意図がクリアにある。フィールド外で集まって選手たちが主体でやっているところは特に成長を感じる。パソコンが6、7台、チームルームにあるが、お互い役割の細かいところを2、3人になって話し合っている姿を見ると、一丸となって成長していると感じる。練習の時でも自分がグラウンドに出た時には、もう選手はアップを終えて準備ができている。準備万端だ。コーチとしてはピークを早めに迎えないように注意したい。日曜日が試合なので、その日その日に選手たちに取り組ませて、日曜日に爆発してもらいたい」