オンとオフの使い分け。「長旅」期するイングランド
188センチ、130キロの体躯を誇り、類稀なスピードとフットワークを兼ね備え、ボールをもらいに走り込むタイミングと角度を読める。ブニポラは、明らかに替わりがいない選手だ。だが、過去2シーズンは負傷に泣かされ、この大砲無しでもチームは何とかやってきた。ブニポラがいなければ、他の選手たちが彼の穴を埋めるというゲームプランは、すでに何度も試合で実行している。
HOジェイミー・ジョージは、「自分とビリー(ブニポラ)がラックサイドに走り込む姿を見れば、SHは多分ビリーにボールを渡すでしょう。ですが、ビリーがいなければ他の誰かにボールを渡す。特に心配する必要はありません」、と余裕のコメント。
そのSHウィリー・ハインツは、フランス戦で警戒する選手はと聞かれて対面の名を挙げた。
「どの選手も危険な選手だと思いますが、やはり自分は9番の選手たちが頭に浮かびます。アントワーヌ・デュポンのゲームは、注目して見ています。ランニングゲームだけではなく、彼のパスとキックには細心の注意が要る」。
前節のアルゼンチン戦では攻守ともに光るプレーを見せたFBエリオット・デイリーは優等生的な受け答え。
「ボールを触る機会も多く、いい試合ができたと思います。問題は、次の試合でいかにいいプレーをできるかです」
しかしその後はチームの素顔を語ってくれた。
オフタイムの過ごし方について聞かれたデイリーは、「ハイライトは、日本に到着して、バスを待つ間に駐車場でプレーしたクリケットです」と切り出した。
「クリケットのセンスがあるとは言えない、マロ(・イドジェ。LO/FL)が、ジェイミー(・ジョージ)をこてんぱんにしたのは最高だった」と述べ、笑いを誘った。隣に座るハインツはうなずき、「確かに」。すかさずジョージはマイクを奪いとり、「私は寛大な性格なので、マロに花を持たせてあげただけです。それでは今日の会見は、以上です」と、さらに会場を沸かせた。
プレミアリーグの12チームから代表選手が選ばれるイングランドは、代表入り、その後のポジション争いが熾烈を極める。だが、ここまで来れば、そんなことを言っている場合ではない。集中とリラックスを使い分けて、大事な場面でチームとして最高のパフォーマンスを発揮するために、全員が全力を尽くしている。
ラグビーの母国、イングランド代表は、12日 土曜日、17時15分に横浜国際競技場で迎えるフランス代表戦に向け、淡々と準備を進める。