丸山桂里奈の”ラグビー体験記”
伊藤さん
お、うまい! さすが、センスがいい!
丸山さん
ホントですか? 教え方がうまいんですよ。
伊藤さん
何で先端を向けるのかと言うと、その形で投げたら結果的にボールのおなかの部分が僕の手に収まるようになるんです。これが、味方の捕りやすいパスです。もういっちょ!
丸山さん
はい!
伊藤さん
いやぁ、さすが! うまい! 僕も投げてみますよ。捕ってください。
丸山さん
うわ、タケちゃんのパスって弾道がぶれないですね。…あ、当たり前か。でも私は、何本か投げてみたらだんだんボールが曲がって飛んじゃいます。
伊藤さん
最初、指でボールを弾いてと教えたじゃないですか? その指で弾くのと腕を振るタイミングが合ってくると、もっといい感じに放れますよ。
丸山さん
難しい…行きますよ!
伊藤さん
完璧です! さすがだわ、世界チャンピオン! 覚えるのが早いですよ。あとはとにかく、愛情を込めてパスをすることです。「ボールは赤ちゃんを扱うように大事にしなさい」という風にも言われてるんですよ。
丸山さん
え、怖い! じゃあ繊細に扱わなきゃですね。
そのパス、偏差値120 ?
伊藤さん
今度は、ボールを遠くに飛ばすスクリューパスを投げてみます。丸山さん、20メートルくらい離れてみてください。
丸山さん
20メートル?
伊藤さん
準備はいいですか? パスを捕るときはハンズアップ。手のひらを胸の前に揃えてください。じゃあ、軽めに行きますよ!
丸山さん
うわ、凄い! 遠くに投げる時は、ボールをぐるぐると回転させるんですね。確か手の振りはこう…。
伊藤さん
すごい、その手の振りがすでにいい感じです!
丸山さん
ホントですか?
伊藤さん
うん、いい感じです! 改めて持ち方から言うと、手のひらを位置を前後にずらすようにします。回転は、後ろの方の手と指でかけるんです。でも、無理に回転をかけようと思わないのが大事。とにかく、後ろ側の腕をしっかり振る。フォロースルーの瞬間は、振った方の親指を軸に手のひらを外側へ返す感じを意識してください。最初は、後ろ側の手だけで練習してみましょう!
丸山さん
行きます!
伊藤さん
そう! そんな感じです! もういっちょ!
丸山さん
はい!
伊藤さん
うまーい! さすがですね!
丸山さん
え、本当に? そんなに褒められることないんですけど!
伊藤さん
この調子で、もう少し投げてみましょう。前の手はパスの方向づけのために添えます。特に、上から親指が大事。ボールを抑えるようにして、弾道を一定にします。
丸山さん
こう、ですか?
伊藤さん
そう、そんなイメージです! 素晴らしい! もう、偏差値120ですね! 僕ね、スクリューパスを投げられるようになるまで10年かかったんですよ?
丸山さん
10年!職人みたいですねっ!!
伊藤さん
…さすがだなぁ、丸山さん。やっぱり違うなあ、表現が、国民栄誉賞!