コラム 2019.09.13

【ラグリパWest】3年目の全国舞台。京都・伏見クラブジュニア

[ 鎮 勝也 ]
【ラグリパWest】3年目の全国舞台。京都・伏見クラブジュニア
創部3年目で「太陽生命カップ」の出場権を得た伏見クラブジュニアの選手たち。 左端は伏見クラブを運営する代表理事の坪井一剛さん、右端はコーチの中島淳さん



 チーム結成3年目、予選出場2回目で中学生の全国舞台を初めて勝ち取った。
 京都の伏見クラブジュニアである。

 ラグビースクールの部で9月14日に開幕する「太陽生命カップ」に出場する。主将のFB吉田雅(みやび)は目標を口にする
「日本一です」

 チームはNPO法人「伏見クラブ」の下部組織のひとつ。このNPOは冬の全国優勝4回、歴代6位の記録を持つ伏見工のOBたちによって作られた。2011年である。

 伏見工の創部は1960年(昭和35)。部歴が半世紀を過ぎる中、地域貢献やラグビーの普及を担う目的でこのNPOは設立された。活動を通じて校名を後世に残すのも意義のひとつ。伏見工と洛陽工が完全統合され、京都工学院になったのは2018年4月だった。

 8年前のクラブ創設から代表理事をつとめるのは坪井一剛(かずたか)である。
「2年ほどで、子供たちはよく頑張ってくれました」
 45歳の元NO8は運営のトップながら、中学生に指導も行う。高校時代は主将として72回大会(1992年度)で優勝。伏見工に2回目の全国制覇もたらした。同志社大、社会人のNTT関西でもラグビーを続けた。

 伏見クラブジュニアは2017年に活動を始めた。中学生がオープンに参加できる。2012年に立ち上げられた小学生対象の「おおぞら少年少女ラグビーチーム」に続いた。
「自転車で練習に来られる子たちが中心です」
 中3生の進路は本人に任せられる。兄貴分である京都工学院に進む必要はない。

 活動は多い時で週5日。月、木、金は山科区の学校を借り、午後6時から2時間ほど練習をする。週末は伏見区にある京都工学院を中心に試合をする。日帰り遠征も多い。

「週末はゲームばかりです。今年はもうすでに100試合ほどこなしています」
 坪井の言葉に強さが潜む。実戦で技を磨く。対戦相手がいなければ紅白戦。部員数は46(3年=17、2年=18、1年=11)。発足当初はチーム内で7人制を繰り返した。

 この4月で3学年が揃った。その中には遠方から通う1年もいる。西村航(わたる)は兵庫・宝塚からJRで2時間かけて来る。
「県のラグビースクールは週末しか練習がありません。僕はできるだけ毎日ラグビーがしたかったのです。今は楽しいです」
 西村は幼稚園から宝塚ラグビースクールで競技を始めた。ポジションはSO。父・哉(はじめ)は坪井の大学の同期だ。社会人のワールドでも快速FBとしてならした。

 このチームでは伏見工で坪井と入れ替わりだった先輩の中島淳もコーチングをする。
 部員たちには、坪井は「ブライトさん」、中島は「ボブさん」と呼ばせている。
「彼らと距離を作るのは嫌なので。呼びやすい形を考えました」
 ブライトは機動戦士ガンダムの戦艦・ホワイトベースの艦長からとっている。


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