コラム 2019.09.13
【ラグリパWest】3年目の全国舞台。京都・伏見クラブジュニア

【ラグリパWest】3年目の全国舞台。京都・伏見クラブジュニア

[ 鎮 勝也 ]



 チームも含めこのクラブのベースにあるのは山口良治の教えだ。「泣き虫先生」の愛称を持つ山口は、伏見工の創部15年後に保健・体育教員として赴任。ラグビー部をこの国屈指の強豪に育て上げた。平尾誠二、大八木淳史、京都工学院GMの高崎利明らは教え子である。

 坪井も3年間、毎日接した。
「先生はタックルにいかない選手には厳しかった。『ほかの選手に迷惑がかかるだろ』と。うまい、下手ではないんですよね」
 自身も厳しい指導を受けた。
「1年の時に部内マッチで先輩を踏んずけました。『調子に乗るな』と激怒されました」
 2年後に高校日本代表入りする有望新人に対しても容赦はなかった。服装の乱れ、スパイクのひもを長くだらしなく結んだり、ストッキングのずり落ちも許さなかった。

「でもね、先生はフォローもすごいんです。怒った後にごはんに誘ったりしてね。だから僕は父親と思っています」
 76歳の恩師は肉親と同じだ。

 坪井はブログ「伏見クラブジュニア」で連絡事項や練習や試合内容などを随時アップしている。チームへの入会金は10000円。月謝は14000円。部費8000円に遠征費用や用具の購入のための積立金6000円が加算される。
「全国大会以外は、できるだけ一時金が出ないようにしたいと考えています」

 10回目となる太陽生命カップの予選は5月に始まった。チームは京都工学院ばりの展開ラグビーで、県予選では京都ORCA、京都アパッチの2チームを下し代表になった。
 6月の関西予選では、第1代表の吹田ラグビースクールにこそ0−31で敗れたが、代表決定戦で岡山ラグビースクールに29−0と勝利。最後の第3代表に滑り込んだ。この部門では京都から初の代表チームになった。

 本大会は9月14日からの3連休に茨城・水戸で開催される。初戦の相手は九州を制した、かしいヤングラガーズ(福岡)だ。キックオフは初日の18時20分。場所はケーズデンキスタジアムのメイン競技場。8チーム参加のため3つ勝てば頂点に立つ。

 今回、水戸までの往復約1200キロはマイクロバスを使う。運転手は坪井と中島だ。
「子供たちや保護者と決めました。子供たちは前日入りを希望しました。その上に新幹線を使うのはお金がかかり過ぎます」
 家庭の経済的負担を少なくする。ここにも指導者の努力はある。狙いはただひとつ、京都工学院と同じ深紅のジャージーを坂東の地でも鮮やかに浮かび上がらせることだ。


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