日本代表 2019.08.29
ラグビーワールドカップに挑む日本代表 全31人選手名鑑 その1 【PR・HO編】

ラグビーワールドカップに挑む日本代表 全31人選手名鑑 その1 【PR・HO編】

9月20日に開幕するラグビーワールドカップ2019日本大会に向け、ついに日本代表31選手が発表された。「一生に一度」と謳われる地元開催のW杯で、前人未到のベスト8以上を狙うジャパン。その命運を託された31人のツワモノ達とは一体、どんな選手なのか。まずは、屈強な筋肉の鎧を身につけたFWのポジションから、プロップ(PR)、フッカー(HO)の8人を紹介する。 ※ラグビーマガジン編集『ラグビー日本代表応援ブック』より抜粋・改変

ヴァル アサエリ愛 (PR)
「インパクト抜群のボールキャリー」

生年月日:1989年5月7日生まれ 
年齢:30歳
出身地:トンガ出身(日本国籍)
身長/体重:187㎝/115㎏
現所属クラブ:パナソニック ワイルドナイツ

 トンガから留学生として来日し、正智深谷高、埼工大ではバックローでプレー。パナソニックでも当初は3列だったが、大胸筋断裂で1シーズンを棒に振ったことをきっかけに、一度は断ったPR転向を決意した。それからわずか2年後の2017年11月に初キャップを獲得できたのは、パナソニックの相馬朋和ヘッドコーチが太鼓判を押す恵まれた身体能力と、たゆまぬハードワークの成果だろう。
 2014年に日本国籍を取得。その際、妻の名前から「愛」の一文字をもらった。インパクト抜群のボールキャリーは、現在の代表PR陣の中でも際立つ破壊力を誇る。課題とされてきたスクラムの安定感を向上させ、ポジション争いを勝ち抜けるか。

堀江 翔太 (HO)
「ワールドクラスのマルチフッカー」

生年月日:1986年1月21日生まれ 
年齢:33歳
出身地:大阪府出身
身長/体重:180㎝/104㎏
現所属クラブ:パナソニック ワイルドナイツ

 2番を背負いながら、プレーの幅はフッカーというポジションの枠に収まらない。最前線でスクラムを牽引、ラインアウトのスローワーを務めつつ、切れ味鋭いステップで相手をかわし、多彩なパスを放って、時にはキックまで繰り出す。ワールドクラスのマルチプレーヤー、それが堀江翔太だ。
 2009年11月のカナダ戦で23歳にして初キャップを獲得。以来、日本代表の揺るがぬ主軸となった。最大の転機は、2011年のラグビーワールドカップニュージーランド大会。大きな期待を背負いながら3敗1分けの結果に終わり、海外挑戦を決意する。
 翌2012年、ニュージーランドの強豪、オタゴ州代表に選出されると、2013年にはオーストラリアのレベルズ入りを果たして日本人スーパーラグビープレーヤーの扉を開いた。厳しい競争を勝ち抜いて国際経験を重ね、一段とたくましさを増して臨んだ2015年ワールドカップでは、全4試合に先発。歴史的快進撃の原動力となり、見事に4年前の無念を晴らした。
 2016年はスーパーラグビー参戦1年目のサンウルブズでスキッパーを担い、荒海にこぎ出したチームを懸命に引っ張った。ライオンズとの開幕戦、記念すべきファーストトライを挙げたのは、きっと偶然ではない。7連敗で迎えた第9節のホーム秩父宮でのジャガーズ戦、初勝利を告げるホイッスルにあふれる涙をこらえきれなかったシーンは、サンウルブズの歴史におけるベスト・モーメントのひとつだ。
 2016年から2017年春までは代表のキャプテンも務め、バトンタッチした今も、FWのまとめ役として大切な役割を託される。一方、重責から解き放たれたことでプレーはさらに迫力を増した印象。昨春のイタリアとの第1テストではライン際でSO田村優のキックパスを呼び込み、ジャンプキャッチからそのままパスをつないでWTBレメキ ロマノ ラヴァのトライを導くスーパープレーを見せた。
 昨年9月に右足の舟状骨の疲労骨折が判明し、11月に手術。当初は復帰まで半年ほどかかる可能性もあると危ぶまれていたが、順調な回復ぶりでこの4月にはウルフパックで無事実戦復帰を果たした。その後サンウルブズでも3試合に出場(うち2試合に先発)して好パフォーマンスを披露しており、コンディションに不安はない。
「すべてをかけたい」と語ってきたワールドカップ日本大会の開幕まで、あと1か月弱。ジャパンに、頼もしい男が帰ってきた。

坂手 淳史 (HO)
「エネルギーあふれる元気者」

生年月日:1993年6月21日生まれ 
年齢:26歳
出身地:京都府出身
身長/体重:180㎝/104㎏
現所属クラブ:パナソニック ワイルドナイツ

 攻守に渡る意欲的なプレーでチームにエナジーをもたらす元気者だ。とりわけ目を引くのは、迷いのない弾丸タックル。トップスピードで突き刺さる勇敢なビッグヒットは、チームメイトを力強く奮い立たせる。昨季のトップリーグでは1試合平均9本弱のタックル数で、85%の成功率を残した。
 帝京大4年時は主将を務め、大学選手権7連覇を達成。パナソニックに加入した2016年春の韓国戦で代表初キャップを獲得した。2017年からはサンウルブズでもプレーし、これまでスーパーラグビー17試合に出場と、順調にキャリアを重ねている。
 昨秋はNZ戦、イングランド戦にも先発。その経験を糧に、大学、社会人の先輩である堀江翔太越えを期す。

北出 卓也 (HO)
「ラグビー頭脳優秀なタックラー」

生年月日:1992年9月14日生まれ 
年齢:26歳
出身地:京都府出身
身長/体重:180㎝/102㎏
現所属クラブ:サントリーサンゴリアス

 ジャパンおよびサンウルブズでの出場歴がない中、サントリーでのパフォーマンスを認められてRWCTS入り。合宿やウルフパックのゲームで実力を証明し、日本代表入りをつかんだ。
 セールスポイントはバックロー並みの運動量と堅実なタックル。昨季のトップリーグでは10試合で約93%という高いタックル成功率を残した。ストイックな自己管理で作り上げた180cm、102kgの引き締まった身体は、体脂肪率1桁台を維持する。
 ラグビーナレッジが高く、クレバーなプレーぶりにも周囲の評価は高い。布巻ら1992年生まれ世代の1人で、高校日本代表の正HOだったが、U20代表入りは逃した。満を辞して、桜のジャージーに袖を通す。

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