京産大は大西監督ラストイヤー。猛練習乗り越えた戦士が心境明かす。
京産大ラグビー部がひとつの区切りを迎える。1973年の監督就任以来、無印の選手を鍛え上げてきた大西健監督が、今季限りで退任する。
「いついかなる時もチャンピオンシップを目指す」というチーム理念を掲げてきた指揮官は今季、最初で最後の日本一を目指す。教え子たちは何を思うか。
「一試合、一試合おごることなく全力でやる。ひたむきになるのが京産大なので」
こう語るのは伊藤鐘平主将。兵庫県生まれながら北海道・札幌山の手高へ越境入学し、京産大2年時には20歳以下日本代表となったLOだ。
6月の日大との練習試合でけがをしたため、8月31日からの関西大学Aリーグの序盤戦は欠場。「不甲斐ないし、歯がゆい気持ちもあります。でも、ここは皆を信用します。僕はグラウンド外からでもチームのマインドをコントロールしたい」と複雑な心境を吐露しつつ、指揮官のラストイヤーへ賭ける思いも明かす。
OBでFWコーチという伊藤鐘史の弟でもある。大西監督には幼少期からかわいがられてきた。
「個人的なことになるのですが、僕は小さい時から大西先生のことを知っている。今年は、僕と一緒に卒業する先生を胴上げしたい。その気持ちを皆とも共有し、大事にして関西リーグを戦っていきたいです」
現在プレーできる4年生のうち、最も京産大を象徴しうるのは寺脇駿。昨季途中からレギュラーとなった右PRだ。日本航空高校石川から京産大入りした際は「全然ついていけなくて……」と舌を巻いたが、毎日1~2時間というスクラム練習を通して底力をつけた。
昨季終了時には、こう話していた。
「何回もへこたれそうになりました。気づいたら、ここまで来られました。練習はしんどいですが、その成果が出て試合に勝てた時の喜びが違う。勝ったら泣くぐらい嬉しいですし、負けたら泣くぐらい悔しい。(4年時は)立場はどうであれ、チームを引っ張っていきたい」
伊藤は「大学ラグビーは4回生のもの」とも話す。
「だから僕も4回生同士でミーティングを開いたりしています。結束はしています。ただ、もっと伸びしろもある。グラウンドで引っ張る選手がまだまだ少ないので、もっと4回生が明るさを出していきたいです」
前年度3位に終わった関西大学Aリーグの今季初戦では、同4位だった関西学院大とぶつかる。