国内 2019.08.16

ユニバーシアードで金メダルを獲って、何が変わった? 大東大・南昂伸の場合。

[ 向 風見也 ]
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ユニバーシアードで金メダルを獲って、何が変わった? 大東大・南昂伸の場合。
大東文化大のキープレーヤーのひとりである南昂伸(撮影:福島宏治)

 身長164センチ、体重69キロと小柄でやや細身だが、密集脇のわずかなスペースを持ち前のスピードで突っ切る。大東大ラグビー部3年の南昂伸は、攻撃的なSHとして味方をけん引する。

 今夏は「人生に1、2番くらいのいい経験ができた」。ナポリでのユニバーシアードに挑む男子7人制日本代表に選ばれ、筑波大の仁熊秀斗と共同主将を任された。現地ではイタリア、カナダ、ロシア、南アフリカの同代表を破り、金メダルを獲得。持ち味を活かし、自信をつけた。

「仁熊は普段の生活のところで引っ張り、自分はプレー中に声を出して引っ張る。お互いに足りないところを補い合えました。ジャパンはどのチームよりも走っていた。前半はリードされたりもしましたが、相手が疲れた時に(得点できた)。自分は身体が小さいので1回でも捕まったら…というところがありましたが、いいところでボールをもらう動きは通用したと思います。パスして、でかい選手に当たってもらって、裏へサポートする…というふうに」

 大東大へ戻った南の練習態度を見て驚いたのは、ともに汗を流すチームメイトや首脳陣だ。NO8の佐々木剛主将は「前よりも発信力がついた」と感じ、日下唯志新監督も「それまでも、とてもよくやってくれていましたが、よりいろいろなところで声をかけてくれるようになりました」と話す。平時のリーダーシップに変化が見られたようで、指揮官はこうも続ける。

「メダルを獲った時には私からも『この経験を部員たちに伝えて欲しい』とメールを送りましたが、実践してくれています」

 今季は、昨季まで強力スクラムを形成したPRの古畑翔、HOの平田快笙前主将が卒業。大幅な陣容の刷新を受け、新指揮官は走り勝つ方針を打ち出す。従来は2週間に1回程度だったフィットネス強化メニューはほぼ毎日、おこなわれ、南も「正直、しんどい部分もありました」。しかしいまでは、モチベーションに波のある部員へ声をかける。前向きに心拍数を上げている。
 
 4月28日から6月16日まで参加した関東大学春季大会Aグループでは1分4敗と苦しんだが、9月1日からの関東大学リーグ戦1部へは自信を持って臨みたいという。

「今年、首脳陣は走り勝つ、フィールドをもっと全体的に使うと(打ち出している)。春季大会では監督が代わったばかりとあって結果は出なかった。それでもチームの仕上がりはいい。自分がもっとリードできるようにしたいです。きついことを乗り越えることが、いい経験になる」

 1年時に全国4強入りも経験した南。長野・サニアパーク菅平であるリーグ戦の開幕節でも、専大を相手に切れ味とスタミナで勝負する。

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