コラム 2019.08.15
【ラグリパWest】橙色のためのスラッシー。  田邉淳[クボタスピアーズ アシスタントコーチ]

【ラグリパWest】橙色のためのスラッシー。  田邉淳[クボタスピアーズ アシスタントコーチ]

[ 鎮 勝也 ]
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 南アフリカ出身のルディケは理論もある。
 ブルズなどのヘッドコーチとしてスーパーラグビーを10季戦った。優勝2回。母国やフィジーの代表にもコーチとして参加した。スクラムやラインアウトの強化は特にうまい。

 そのセットプレーを土台にして、田邉はエッセンスを加える。
 攻撃では相手が予期せぬ状況、いわゆるカオス(Chaos=混乱)を意図的に作る。
「トライの機会をこちらが演出します」
 ひとつの形はキックの連続だ。ハイパントを使い、そのボールを再確保し、さらにライン裏へのゴロパントやキックパスでトライを狙う。神戸製鋼戦では得点こそできなかったが、前半終了間際にその形を示した。

 蹴ればボールを手放す。しかし、守る側は後ろに戻らねばならず、混乱が生じる。プレー選択の主導権は攻撃側にあるため、決め事を作り、それに沿って反復練習をすれば、ボールを保持し続けることは可能だ。

 そのカオスで不可欠なのはタックルだ。
「立って終わりではない。ボールを奪い取ってはじめて終わりになります」
 最も大切なのはマインドセットと話す。

 その上で基本的には前に出る。
「相手のスペースと時間を奪います」
 動かさず、考えさせる暇を与えない。

 個人の技術も確認する。
「逆ヘッドで行っていないか、とか、同じ側の肩と足を出しているか、とかですね」
 神戸製鋼には完敗したが、プール戦からの6連勝に指導の正しさが透けて見える。

 田邉は今年6月で不惑をひとつ越した。
 競技を始めたのは大阪の茨木ラグビースクール。4歳から中3まで続けた。高校は兵庫の報徳学園。入学1か月ほどで休学して、ニュージーランド(NZ)に留学する。
「小6の時に旅行して、自然が豊かないい国だなあ、と感じました。英語を生で勉強したい、という思いもありました」

 そのまま、南島のクライストチャーチにあるシャーリー・ボーイズ・ハイスクールに籍を移す。語学克服のため、ノルマを課した。
「1日3つずつ英単語を覚えました」
 その積み重ねは今に生きる。通訳を介さず、ルディケに気持ちを正確に伝えられる。円滑な意思疎通の根本である。


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