日本代表テストマッチ最年長出場記録更新のトンプソン ルーク、次はいざ「ホーム」へ。
2019年7月27日、岩手・釜石鵜住居復興スタジアム。2011年の東日本大震災時に津波で全壊した小中学校の跡地で、日本代表LOのトンプソン ルークがフィジー代表とのパシフィック・ネーションズカップ(PNC)初戦へ先発フル出場した。
約1万3000人のファンが仮設スタンドなどを埋めるなか、身長196センチ、体重110キロの「トモさん」はタックル、防御の分厚い箇所への突進、ラインアウトの捕球と「僕の仕事ね」を全う。声を弾ませた。
「スタジアムはでかくないけど、雰囲気はめっちゃいい。釜石は日本のラグビーにとっても、日本以外にとっても重要な場所。僕の友だちもたくさん、釜石(トップチャレンジリーグの釜石シーウェイブス)でプレーしているし」
ニュージーランドのクライストチャーチ出身で、2010年に日本国籍を取得。2007年の日本代表デビュー以来、ワールドカップには3大会連続出場中である。
2015年のイングランド大会限りで代表引退を表明も、2017年6月に限定復帰。さらに日本大会が間近に迫った今年、国際舞台への本格復帰を決意した。代表とつながるサンウルブズへ入り、国際リーグのスーパーラグビーで好アピール。6月上旬からの宮崎合宿を経て、急ピッチでレギュラー候補に昇格した。
さらにこの日は、日本代表としてのテストマッチ(代表戦)最年長出場記録を大野均の「38歳50日」から「38歳102日」に更新。過去3大会をともに戦った盟友LOのレコードを塗り替え、海外出身の日本代表選手初のワールドカップ4大会出場へ弾みをつける。
「自分の仕事をちゃんとやれば、年は関係ない。ピークはいまじゃないけど、いい準備している。(チームは)前半、ボールコントロールができました。だから、勝ったね。コーチングスタッフはいい準備をした。選手も自分の仕事をしっかりした」
8月3日には、トンガ代表とのPNC2戦目を迎える。会場の大阪・東大阪市花園ラグビー場は、トンプソンの所属する近鉄の本拠地でもある。トモさんは改築後の同ラグビー場で試合をしたことがないそうで、「まだ(トンガ代表戦の)メンバーはわからないけど、次もめっちゃ出たい」。残された現役生活。記録を打ち立てると同時に、自らの記憶に残る経験もしたい。