もう一度、歴史を変える力に。新田博昭S&Cコーチ、フィジー代表に合流。
フィジー代表に帯同し始めてからの短い時間で感じたのは、スキル等に関しては「抜群というわけではない」ということだ。
練習を見ていてもミスは少なくない。「日本代表の方が負けているという感じはしなかった」と話す。
「ただ、JPからは日本とは全然違うと聞いています。試合になると変わる、と。筋力やフィットネスなどの数値などは高くはないけれど、実戦になってスイッチが入ると走れる。どうやったら彼らがいちばん伸びるのか、力を発揮できるのか、まずは観察してみたい」
国民性や個々の特性を知ることは、コーチングの重要な要素の一部だ。
選手たちと触れてみてわかったのは、JPの指導の成果か、きついトレーニングに臨む姿勢や規律が、思っている以上にしっかりしていることだ。
前回大会を振り返って思うのは、選手と指導者の信頼関係の重要性。選手は、「この人が言うなら」の思いがあれば猛練習をやり切り、力を蓄え、勝負に出る。
「2015年は、選手たちがエディーさん(ジョーンズ ヘッドコーチ)を信じ切っていたから、大会前にあれだけ追い込めたと思います」
新田さん自身もエディーを信じて殻を破ったひとりだった。
「サントリー時代にも経験しました。エディーさんが言うように、(オーバーワークやケガを)怖がらないでギリギリのところまで鍛え込めば、ピーキングをしっかりやれた場合、最高のパフォーマンスを出すことができる。トップリーグでもそうだったし、世界の舞台でも、あらためてそう勉強させてもらいました」
ワールドカップの価値が選手たちのヤル気に火をつける。そんな感情もプラスにしたい。
ジャパンが歴史を変えた前大会同様、今回も勝負どころでチームに加わった。
調整だけに終始せず、さらに鍛え、残り時間でチーム力をもっと高める。
「ベスト4進出。それが実現できたら、前回に負けないくらいの充実を感じられると思っています」
ただでさえ魅力的なチームのエンジンをさらに大きく。キレをもっと鋭く。
初めて訪れるフィジーでの数週間を4年前の宮崎以上にして、フィジーラグビーの歴史を変える力になれたらコーチ冥利につきる。