コラム 2019.07.19
【コラム】俺のワールドカップ

【コラム】俺のワールドカップ

[ 向 風見也 ]

<宮尾さん、今週の試合、出られます?>

<メンバーには入っているので、頑張ってください>

 スマートフォンに届くメッセージを見れば、頼られているのがわかる。気持ちがいい。

 ラグビーが好きだった父の泰助さんの仕事の都合で小2から小6までバンコクで過ごし、受験がひと段落ついた頃に父の働いていたフィリピンの日本人ラグビーチームへ混ざる。

「人がいないからと試合に出ることになって、ボールを持って走っただけで上手だねと言われ、そのチームの代表をしていた方が上智大出身で…」
 
 細身の初心者だった頃はウイングだったが、筋肉のついた4年時にはタフなロックへ転じ、同級生が去ってからは最前列のプロップを任されている。

 弟の柾紀が後輩となった今年は、真剣に楕円球と向き合う最後の年。くしくもラグビーワールドカップ日本大会の開催年でもある。部内で「オジキ」と呼ばれるいつかのラグビー初心者は、世界的祭典への期待を口にする。

「日本中でラグビーの認知度が上がれば。僕のような人が、どんどんラグビーを始めたいと思うようになってくれたらいいですね」

 日本代表がワールドカップでロシア代表とぶつかる12日前、上智大は東大駒場グラウンドで東大との対抗戦初戦を迎える。上智大にとってのワールドカップ初戦は、9月8日だ。

【筆者プロフィール】向 風見也( むかい ふみや )
1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年よりスポーツライターとなり、主にラグビーに関するリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「スポルティーバ」「スポーツナビ」「ラグビーリパブリック」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)。『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(共著/双葉社)。『サンウルブズの挑戦』(双葉社)。

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