初選出初出場で2トライ! U20日本代表の山口楓斗は「ワンプレー」で魅せたい。
ラグビー20歳以下(U20)日本代表がまず、最初の関門をクリアした。殊勲者の1人は、同志社大2年の山口楓斗だった。
現地時間7月9日、ブラジル・サンパウロ州のサンジョゼドスカンポス。年代別世界大会であるワールドラグビーU20トロフィーの初戦で、開催国のU20ブラジル代表に56-24で勝った。
この大会では、2つに分かれたプールの戦いを1位通過して同21日のファイナルに勝てば、来季の上位トーナメント(ワールドラグビーU20チャンピオンシップ)へ2季ぶりに昇格できる。若手の継続強化のためにも、負けられないバトルだ。
気を吐いたのが、それまで国際経験のなかった山口だった。先発WTBとして2トライを奪取。身長166センチ、体重70キロと小柄な体格ながら、持ち前の走りで光った。
大会前には、こう口にしていた。
「世界でやる経験、外国人とやる経験もない。自分がどこまで通用するかは気になるところです」
同代表の候補選手が挑むTIDキャンプへ初招集されたのは、今年6月の2019年度第3回合宿が初めてだった。昨年度から続いた同キャンプや遠征では、別の選手が活躍。しかし相次ぐ怪我、大会時期に重なった各所属大学の試験などのため、U20日本代表入りを辞退する者が増えた。
ピンチヒッターだった山口は、「チャンスをつかむための準備をしてきたので」。具体的には、持ち味のスピードやステップワークを活かす術を磨いてきた。球をもらう前に防御の死角を見定め、あとは迷わず駆ける。跳ねる。
「相手の肩の位置を見て、あとは自分の本能で。ランのなか(途中)は、あまり考えたりはしないです」
小学5年時、福岡の玄海ジュニアラグビークラブでラグビーを始めた。県内には全国上位を争う東福岡高が君臨していたが、山口が進んだのは東海大福岡高だった。「ヒガシを倒したい気持ちがあって」とのことだ。
結局は全国大会行きが叶わず、東福岡高を「一人ひとりの個の能力が違う」と仰ぎ見るしかなかった。しかし、主体性を保ったことで卒業後の進路を決められた。
高校3年の「春」か「夏前」。出場予定試合を観てもらうよう、同大のリクルーターに自ら声をかけたのだ。
「高校の監督を通じて、同大のリクルーターの方に観てくださいと言いました。…まぁ、自信はあったので」
同大では夜間練習が主だが、「昼間にウェートをしたり、練習前に自主練をしたりと、うまく時間を使っています」。置かれた立場を前向きに捉え、創意工夫を怠らないという。
初めて帯同したTIDキャンプでは、社会人トップチャレンジリーグの栗田工業と実戦形式の練習を実施。海外出身選手へタックルした際などに「フィジカルの部分ではまだまだ足りていない」と感じたようだが、思い切りのよい走りは「全然、通用する」と再確認。今度の大舞台へも、成功体験を持って臨んでいた。
好きなプレーヤーを聞かれれば、「ダミアン・マッケンジー選手。好きですね。格好いいです」。ニュージーランドを代表する、小柄なファンタジスタの名を挙げる。目指す将来像は。
「ワンプレーで魅せられるというか、こいつがボールを持ったら何かするぞと思わせるような選手になりたいです」
現地時間13日、U20ウルグアイ代表戦でも出場を目指す。