海外 2019.07.09

シドニーユニで1軍デビュー。藤山裕太朗、シュート・シールドの舞台に立つ。

シドニーユニで1軍デビュー。藤山裕太朗、シュート・シールドの舞台に立つ。
シドニーユニ1軍デビュー後、チームメートに促され藤山が先頭でピッチを引き上げた(撮影/YASU TAKAHASHI)

 シドニー大学クラブ(以下、シドニーユニ)で奮闘中の藤山裕太朗(東海大卒/昨季まで中国電力)が、オーストラリア・NSW州クラブラグビー最高峰の「シュート・シールド」(Shute Shield)に出場した。

 6月29日におこなわれた第13節のワリンガ戦から、2軍による「コリン・ケアード・シールド」(Colin Caird Shield)に先発出場していた藤山は、その日から1軍のリザーブに入った。
 その日の1軍戦、「シュート・シールド」は、昨年の決勝と同じカード。第3節にシドニーユニのホームでおこなわれた試合では迎えた側が50-0と完勝するも、アウェー戦の今回は、熱い地元サポーターの声援に応えたワリンガが22-21で接戦を制し、今季の対戦成績を1勝1敗としていた。
 シドニーユニは、ワラビーズのSHジェイク・ゴードンらが躍動するも、勝ち切れなかった。ベンチにいた藤山にも出場の機会はなかった。

 そして迎えた第14節(7月6日)、ウエスタン・シドニー戦。藤山はこの日も2軍戦で先発。今シーズンはレベルズで、スーパーラグビーの舞台でもプレーしたSOスチュアート・ダンバーらとともに出場し、63-22で快勝した。
 そして同日も、その後の「シュート・シールド」のリザーブ席に座った。

 その1軍戦は序盤からシドニーユニがリード保つ展開となった。
 そして、33-7とリードして終盤に差し掛かったところで幸運が訪れる。シドニーユニは藤山を投入したのだ。
 その試合が藤山の1軍でのデビューと、場内にもアナウンスされた。

この日のシドーユニのフロントローは強力だった。手前(3番)はワラターズのハリー・ジョンソンホームズ、
1番はジュニア・ワラビーズでU20チャンピオンシップ準優勝メンバーのアンガス・ベル(撮影/YASU TAKAHASHI)

 ピッチに立つなり藤山は積極的に動いた。相手BKによるショートパントに素早く反応。ボールを追いかけタックル受ける間際のタイミングでボールを叩き、味方BKにタップパスをした。
 シドニーユニは、そこから大きくワイドに展開した。いっきに相手ゴールラインまでボールを運ぶ。カウンタートライとなった一連のプレーには会場も沸き、それを演出した藤山にも歓声があがった。
 試合は38-7で終了。限られた時間ではあったが、藤山も高いパフォーマンスを見せた。また新たな一歩を踏み出した。

 ちなみにこの「シュート・シールド」、近年では、2015年に松島幸太朗(日本代表/サントリー)がイースタン・サバーブスで、2017年に土佐誠(三菱重工相模原ダイナボアーズ)がイーストウッドで出場している。
 またシドニーユニでは、藤山の高校(大分舞鶴)の先輩にあたる、城彰(キヤノンイーグルス)が2013年に出場して以来の日本人選手となった。

 先日発表されたザ・ラグビーチャンピオンシップのオーストラリア代表スコッドに選ばれたトル・ラトゥ(ワラターズ)、フォラウ・ファインガア(ブランビーズ)の2人のHOは、いずれもシドニーユニの選手だ。今年はワールドカップイヤーだから、彼らがクラブに戻ることは難しいだろう。
 藤山にとってチャンスが続く。 また、クラブの期待も大きくなるだろう。今後がますます楽しみだ。

(文/YASU TAKAHASHI)

藤山の祝福に1軍の選手たちが集まり、記念の集合写真(撮影/YASU TAKAHASHI)

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