各国代表 2019.06.21
新大会創設をめぐり巻き起こった賛否両論 計画中止で日本は「大変残念」

新大会創設をめぐり巻き起こった賛否両論 計画中止で日本は「大変残念」

[ 編集部 ]

 新国際大会の構想は、今年2月末に『ニュージーランド・ヘラルド』紙へリークされ、公になると、賛成、反対さまざまな議論が巻き起こった。
 ワールドラグビーのアグスティン・ピチョット副会長(元アルゼンチン代表キャプテン)を中心に協議され、サッカーのUEFAネーションズリーグ(2018年開始。2年ごとに開催)の流れをくむ大会計画だったといわれている。

 ワールドラグビーによれば、ネーションズ・チャンピオンシップの主な目的は、参加協会にとって強力で持続可能な財政および競争モデルを確保すること、初めてすべての新興国に意味のある競争経路を提供すること、さらに、ファンや放送局に新たな国際ゲームの興奮を注ぎ込み、新しい市場を開拓することだった。2027年にラグビーワールドカップが拡張される(本大会出場が現行の20チームから24チームに増える)可能性を視野に入れて、中堅国・新興国の競争力を高める狙いもあった。「ラグビーの世界規模の発展を確約する」としていた。

 大手スポーツマーケティング会社(Infront Sports & Media)からの、12年間で61億ポンド(約8300億円)という巨額な資金提供を保証され、この新大会は、特に南半球のなかでラグビー界が経済的に苦しんでいる国に利益をもたらす可能性があると見られていた。当初計画では、ニュージーランド・ヘラルド紙の概算によると、参加国が大会で受け取る金額は1チームにつき約7億6000万円~10億6000万円だったという。

 しかし、国際ラグビー選手協会の会長を務めるアイルランド代表のジョニー・セクストンは、選手のことよりも商業的利益を優先していると批判。ラグビーのような体を激しくぶつけ合うスポーツで、11月の5週間に5試合を詰め込むこと(シックスネーションズとラグビーチャンピオンシップの各上位2位チームが準決勝、決勝を戦う計画だった)への懸念を示していた。

 さらに、リーグ構想に関する協議に招待されなかったイングランドとフランスのプロクラブリーグ関係者も抗議の意を表明。

 また、シックスネーションズの欧州伝統国とラグビーチャンピオンシップの南半球強豪4か国以外にネーションズ・チャンピオンシップに参加するのは、日本とフィジーと発表されたが、当初のリーク情報では、世界ランキングトップ10に入っているフィジーではなく、マーケット市場拡大へ魅力的な経済大国のアメリカ(フィジーより世界ランキングは下)が名を連ねていたことが明らかとなり、さらに、「10年間は昇格・降格の制度はない」との情報も報じられたため、サモア、トンガを含めた南太平洋諸国は日本で開催されるワールドカップへの参加ボイコットを示唆するなど、猛烈に反発した。シックスネーションズに属しているイタリアよりもランキングが上のジョージアも当然、怒り、この新大会構想は物議を醸した。

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