コラム
2019.06.14
【ラグリパWest】先生のために。 加藤剛(たけし)京都産業大ラグビー部OB会会長
【キーワード】京都産業大学
ヘップメンテナンスの社員・佐藤康平は大学ラグビー部の後輩だ。
31歳。出身校は新潟・北越。現役時代はプロップだった。2年の時、父親が事業に失敗する。大西に退学を申し入れた。
「今、やめたらもったいない。休部して授業料を稼いでおいで」
そして、この会社を紹介された。
加藤は提案した。
「先生、学費くらいやったら、僕が立て替えておきますけど」
大西は返す。
「いや、それは本人のためによくない。すまんけど雇ってやってくれ」
佐藤は振り返る。
「休みの日もあるのに社長は月30万くれました。半年ほど働かせてもらって、授業料を作って、部に戻りました。父が働き口を見つけたので、翌年からはなんとかなりました」
2人はハタチの人生を正しくつなげる。
そのまま佐藤は会社の軸になる。
「ここの特にいいところは、仕事で使うとはいえ車を与えてもらえること。それにガソリン代や携帯代もすべてもってもらえます」
加藤は福利厚生に力を入れる。環境改善が作業効率につながることを知っている。昨年度には相当な額のボーナスも出した。
組織を束ねるにはふさわしい。
加藤は大西を評する。
「父親みたいな存在やね」
そのラストがゆっくりと迫ってくる。
「先生はチャンピオンシップを目指して、まだ獲れていません。今年、それが実現できたらドラマになる。そうなってほしい」
京産大の大学選手権の最高位は4強だ。決勝進出はまだない。関西には昨年度、選手権で準優勝した天理大も存在する。
険しい道を越えて行くため、加藤はOBを取りまとめる。恩返しをたっぷりと入れたドラマを完成させるために…。
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