日本代表 2019.06.12

U20日本代表の「エッジ」に立つ。山本秀の証明したいものとは。

[ 向 風見也 ]
U20日本代表の「エッジ」に立つ。山本秀の証明したいものとは。
7月のワールドラグビーU20トロフィーを見据える山本秀(撮影:向 風見也)

 今季のラグビー20歳以下(U20)日本代表は、国内トップリーグの神戸製鋼と似た攻撃方法を理想とする。

 接点周辺では3人ひと組のユニットが立つ。この位置でボールをもらった選手は、相手の動きを見て左右どちらかにショートパスを放つ。球を受け取る前から左右へ動く選手もいて、選手は異口同音に「相手に的を絞らせないアタック」と胸を張る。

 つぼにはまれば変幻自在な攻撃が披露できそうなシステムのもと、ジョーカーとなりうるのが山本秀だ。

 登録上はLOに入ることもあるが、実質的な主戦場はFW第3列のFLと自覚する。攻撃中はエッジと呼ばれるタッチライン際に張り出し、自身の目の前にスペースができれば中央の司令塔から大きなキックパスを受け取る。身長190センチ、体重90キロと国内にあっては大柄で、バネがある。空中に飛ぶボールを獲るのが得意だ。

「チームの方針で外に残っています。(相手に)当たってからのオフロードで(周りの)BKを活かす意識です」

 快足ぶりにも定評があり、守っては何度もロータックルを放つ。

「身体が横に(筋肉が)ないぶん、低さで補っていかなくてはいけない。具体的には膝の使い方(を意識)。股関節を曲げるというより、膝とお尻を低く落として、強いタックルに行けるよう意識しています」

 今季のU20日本代表候補は、人員の入れ替わりを余儀なくされている。

 9月からワールドカップ日本大会がある都合上、昨年、一昨年は晩夏あたりにおこなわれていたワールドラグビーU20トロフィーは7月開催となった(ブラジル)。大一番が各大学の学期末試験と重なる関係などで参加辞退者も出ており、山本ら主軸候補はチーム文化の定着に苦心している。

 裏を返せば、前後の学年の選手が得られぬ経験ができているとも取れる。

「周りの選手のレベルは高く、ラグビーのできる環境が整っています。自分にとってはプラスしかない。ここで吸収できるものは吸収して、強みをアピールできたらと思います。いまは新しく入った選手も多いので、戦術の理解やスキルを磨いていって、自分たちの目指すラグビーで勝つ。そうして、自分たちのやってきたことが正しかったと証明したいです」

 小学3年の頃、亀岡ラグビースクールで楕円球と出会った。アウル洛南ジュニアラグビーフットボールクラブ、京都成章高を経て、現在は近大の2年生である。高校3年まではCTB、WTB、FBというバックスのポジションでもプレー。2017年度高校日本代表の経歴を誇る。

 将来も選手、指導者としてラグビーに携わりたいという。いま、その礎を作っている。

PICK UP