セブンズに人生を懸ける。野口宜裕、フランス大会での出番を熱く待つ。
府中合宿中の試合では、代表側で出ることもあれば、対戦相手側にも加わった野口。3日間の戦いの中で、日本代表スコッドの中で積み上げてきたフィットネスが自分自身の財産になっていることを感じながらも、「チームに求められているプレーをもっとやらないといけない」と反省もした。
「以前と比べれば、判断や、味方とうまく連係をとってプレーする部分は高まったと思います。ただ、まだまだ足りていないところが多い。誰よりも努力して、絶対にスコッドに生き残りたいと思っています」
東京出身ながら大阪の早稲田摂陵に学び、ラグビーと出会った。同校の藤森啓介先生、専大の村田亙監督と、自分の才能を伸ばしてくれる指導者と出会ったのは運命的出来事。お陰でセブンズへの道が拓いた。
2017年の春に代表関係者の目に留まり、挑戦の機会を与えられてからは、2020年の東京五輪をターゲットに定めて脇目もふらず走ってきた。大学4年時(2018年度)も、同期と一緒に関東大学リーグ戦を戦いたかったが、出場は中大戦のみ。セブンズ選手として成長する時間にすべてを費やした。
代表でプレーし続けること、世界で勝つことの難しさを体感した者として、その判断は当然だったと思っている。
日本オリンピック委員会が実施しているトップアスリート就職支援策「アスナビ」を通じ、この秋からはセコムへ入社する予定になっているが、同ラグビー部ではプレーせず、セブンズに特化した活動を続けていく。
「自分にはセブンズしかない」の言葉は本気だ。
「来年の東京五輪のメンバーに入れなければ、メダルを獲れなければ、ラグビーは引退。それぐらいの気持ちでやっています」
パリで出番が巡ってくるかは分からない。
でも、巡ってくるなら勝負どころ。
セブンズに人生を懸ける男の思いが、特別な力を発揮しそうな気がする。