国内 2019.05.20

【東京地区国公立大学体育大会】 東工大が外大を後半突き放し圧勝

[ 見明亨徳 ]
【東京地区国公立大学体育大会】 東工大が外大を後半突き放し圧勝
東工大LO白石が外大ディフェンスを押しのけ2トライ目を奪う(撮影:見明亨徳)

 ラグビー春シーズン。都内の国公立大が覇権を競う「第67回 東京地区国公立大学体育大会」がおこなわれている。5月19日、東京工業大と東京外国語大が2回戦を戦い、東工大が71-0と圧勝した。

 前半は外大のディフェンス、しぶとい粘りが功を奏し、お互い敵陣22メートルライン内へ入れない。
 ようやく17分すぎ、東工大は外大22メートルライン外の左ラインアウトを得る。敵陣深くへ入ると外大が反則を犯し、タップからゴールラインへ迫る。ラック状態から、SH濱本存詞(さとし/桐朋高校出身)が左中間インゴールへ置き、先制した。
 その後もこう着状態が続いたが、29分、東工大は外大10メートルライン内で反則をもらうと、FB落合翔悟(市川高校出身)が着実にPGを成功し、10-0で折り返した。

後半ノーホイッスルトライを決めチームを鼓舞した東工大SO柳井主将(撮影:見明亨徳)

「アタックは後半も同じスタイルで」とこの日、SOに入った柳井勇作主将(川和高校出身)は自分たちを信じた。前半最後にCTBがシンビンで1人少ない東工大。柳井は本職の右WTBへ。成果は出た。キックオフから柳井がもらうとそのまま、40秒でトライランを越えた。

 ここから怒涛の攻めが始まる。10分にLO白石慧(春日部高校出身)が外大ディフェンスを押しのけてトライを奪うと、22分にはラインアウト起点のサインプレーで追加点を決める。24分にはSH濱本がパスインターセプトで走り切る。27分はLO白石も2本目のファイブポインターになった。残り10分間でも「外大は足が止まっていた」(柳井)と、相手から4本のトライを取り切る。後半は9トライを挙げ、計10T9G1PGで71得点をあげた。

 外大は東工大22メートルライン内へ入ることが難しかった。唯一、東工大がシンビンで1人欠いた前半39分、22メートルライン内ラインアウトで攻めるも投入ミスで東工大がスチール、機会を逸した。得点を奪えずに終えた。

 3月の両校の練習試合は東工大が10T9Gで68-7と大勝していた。

外大司令塔、山内主将(黒練習着)は喉の大けがで療養中(撮影:見明亨徳)

 外大は1回戦で地区対抗のライバルである東京海洋大を29-14で下していた。外大の対海洋大・公式戦勝利は2010年の地区対抗(22-17)以来、9年ぶり。期するものがあった。だが司令塔SO山内遼主将(三鷹高校出身)が練習中の接触で喉付近の骨を折り手術、療養中だ。試合を観戦した司令塔は「東工大9番、10番、12番。後半は動きが違っていた」と振り返った。

 外大で新1年生にラグビーと初めて触れ合った男女がいた。
 FW候補の朴永洙君。東京韓国学校出身。高校では「ダンス部、K-POPを踊っていました。大学で新しいことにチャレンジしようと。タックルができるラグビーを選びました」。在日韓国・朝鮮の世界。ラグビーは大阪朝鮮高、東京高に朝鮮大が取り組む。「韓国学校出身、大学でラグビーを始めるのはたぶん僕が最初では」と話す。日韓英語が堪能なラガーマン、将来は貿易関係の仕事につこうとロシア語を専攻している。

 マネージャーの権歩美さん。父親が韓国、母親が日本人。両親は二人が中国留学中に知り合ったとうこことで中国語を専攻し、日韓中の懸け橋を目指す。高校はソウルにある中央大学附属高を卒業した。「大学では厳しい『部活感』があるクラブに入ろうと思っていました。まだラグビーのルールもよくわかりませんが」。大学生活を楕円球と歩む。

初めて楕円球に触れた外大1年生の権さん(左)と朴君(撮影:見明亨徳)

 今大会の2回戦もうひとつの試合、東京大×首都大東京戦は、東大がチーム事情で辞退し、首都大の不戦勝になっている。次週5月26日におこなわれる準決勝2試合の組み合わせは、昨年優勝の東京学芸大×首都大、準優勝・一橋大×東工大となった。学芸と一橋はここ3年間、決勝で対戦している。

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