セブンズ代表候補合宿で揉まれる石垣航平の「なんくるないさー」。
183センチ、98キロの体躯ながらスピードあり。ステップにもキレがある。
さらに、石垣航平には向上心がある。日本ラグビーを背負ってプレーしたい。言葉は多くないが、思いは強い。
5月6日から始まった男子セブンズ・ディベロップメント・スコッド府中合宿。そこに石垣の姿があった。
今年になって、同スコッド合宿に呼ばれるようになった。千葉・成田や沖縄での合宿に参加し、SDSチームの一員として九州セブンズにも参加。経験値を高めている。
帝京大ではCTBとして連覇に貢献(4年時は7連覇)。コカ・コーラレッドスパークスに加入して3シーズンが過ぎた(WTB/CTB)。
ルーキーイヤーから11戦出場するなど、トップリーグの舞台で力をつけてきたのは間違いないが、「この(セブンズ代表候補)レベルに来ると、まだまだと感じることばかり」と話す。
「(トップリーグで)毎シーズン、足りないものを見つけては改善する。そういうことを繰り返してきましたが、ぜんぜん足りていない。WTBとして、外からの声とか、そういう部分は成長したと思いますが、やらないといけないことはたくさんある」
特にセブンズ仕様の頭と体を作ることは生き残りに不可欠な要素だ。合宿参加を重ね、当初より対応力は高まってきたものの、世界と戦う選手になるには先は長い。それは本人も、「セブンズはきついし、15人制と違うところもありますが、それも楽しく感じています。いろんな人にアドバイスをもらっています。せっかくいただいたチャンス。教わったことを活かし、なんとか(代表争いに)食い込んでいきたい」と納得済みだ。
所属するレッドスパークスは昨季の結果、2019年度はトップチャレンジリーグで戦う。石垣がプレーした3季とも低調な成績が続いているが、その中でも「上を目指す」心が折れなかったのは、周囲から刺激をもらい続けてきたからだ。
チームには、リオ五輪で主将を務めた桑水流裕策もいれば、現代表の副島亀里ララボウラティアナラ、吉澤太一もいる。
そんな先輩たちに代表での経験談を聞かせてもらい、モチベーションを高め、「自分も」とアピールしてきたことが現在につながった。
だからこそ、チャンスを逃したくない。全力を尽くす。
同期で主将だった坂手淳史をはじめ、帝京大の先輩、後輩たちの多くが、今秋開かれるワールドカップのスコッドに名を連ねていることについて、「嬉しいし、勇気づけられる」と言う。
「セブンズには帝京出身者がいないので、自分が、という気持ちでやっていきます。そのためにも、チームに求められる動き、仕事をやれるようにしないと」
沖縄・宮古島の出身も、「なんくるないさー」と、自身の進む道を運に任せるつもりはない。
その言葉は本来、「まくとぅ(=真)そーけーなんくるないさー」が定型句。「正しいおこないをすれば、自然と道はひらく」という意味だ。
石垣のスピリットは、そちらに近い。