海外 2019.05.02

桐蔭学園が大阪桐蔭下しサニックスワールドユース4強入り。京都成章はNZ王者に敗れ「もっとできた」

[ 編集部 ]
桐蔭学園が大阪桐蔭下しサニックスワールドユース4強入り。京都成章はNZ王者に敗れ「もっとできた」
ラインアウトで競る桐蔭学園(紺色ジャージー)と大阪桐蔭(撮影:Rugby Republic)

 1月に花園で決勝を戦った大阪桐蔭と桐蔭学園(神奈川)の新チームが、5月2日に福岡県のグローバルアリーナで再び熱闘を繰り広げ、桐蔭学園が35-31で競り勝った。国内外の強豪が集う「サニックス ワールドラグビーユース交流大会 2019」の準々決勝で激突。日本勢は京都成章を含め3チームがベスト8に入ったが、京都成章はニュージーランドのセント ピーターズ カレッジに5-29で敗れたため、桐蔭学園だけが優勝争いに残った。

 昨年度の高校日本一である大阪桐蔭は今春の全国高校選抜大会出場を逃していたため、綾部正史監督は「この大会で、自分たちの力がどこまであるのかチャレンジしたかった」という。一方、選抜大会3連覇を果たした桐蔭学園の藤原秀之監督も、「強いチームとやりたかったので、対戦できてよかった。今年は選抜大会から近畿のチームといっぱい試合をやっていますが、大阪桐蔭とはやってなかったので、勝ち負けというより、この春に対戦できたことがよかった」と語り、どちらも冬の大勝負を見据える。

 序盤から互いに激しく体をぶつけ合った。前半12分までに、両チームとも2本ずつトライを挙げる。その後、敵陣深くに入ったがラインアウトにミスがあってチャンスをつぶした大阪桐蔭に対し、桐蔭学園は前半25分、SO伊藤大祐キャプテンが突破してサポートのHO平石颯、WTB飯塚稜介につながり、21-12とリードを広げ折り返した。
 後半に入り、しばらくガマン比べが続いた。先にスコアボードを動かしたのは桐蔭学園で、15分、ゴール前でFWが近場を繰り返し突いて追加点を挙げた。
「チャレンジしよう」「思いきりいこうや」と声を掛け合った大阪桐蔭は17分、CTB山添将輝の突破からチャンスとなり、サポートしたFB芦塚仁が力走、タックラーを引きずりながら粘り腰でゴールラインを越え、チームは活気づいた。
 しかし桐蔭学園は25分に再びFWのパワープレーでトライを挙げ、16点差とする。それでもあきらめない大阪桐蔭は終盤に2トライを奪い返したが、それが精いっぱいだった。

「今日は中盤のマネジメントが課題だったんですが、全然ダメでした」と試合を振り返った大阪桐蔭の綾部監督。「でも修正できる時間があるので、しっかり修正してこの先につなげていけたらなと思います」。

 桐蔭学園の藤原監督にも笑顔はなかった。「最後の2本(被2トライ)はいらなかったですね。攻撃はお互いにできていたのでディフェンスが勝負の鍵になると思っていましたが、バックスがダメだったですね。相手のアタックがよかったというのもありますが、バックスは相当行かれた。今日がいちばん最悪でした」と語り、次の試合での奮起を求めた。

 その桐蔭学園が5月4日の準決勝で対戦するのは、ニュージーランドのセント ピーターズ カレッジだ。「ティア1の国(強豪国)のチームと試合ができるというのは、今大会、我々にとってはいちばんの楽しみ」(桐蔭学園・藤原監督)

NZチームとの準々決勝、スクラムから攻める黄色ジャージーの京都成章(撮影:Rugby Republic)

 ニュージーランドの2018国内チャンピオンは、近畿大会王者の京都成章を29-5で下した。
 京都成章は、先発FWで身長180センチ超えが5人(LOの本橋拓馬と山本嶺二郎は190センチ)、体重100キロ超えは3人と体格で負けておらず、フィジカルバトルで互角にわたりあった。伝統復活と期待されるディフェンスもしぶとく、前半は5点差で折り返したが、セント ピーターズ カレッジは継続ラグビーで徐々に点差を広げた。

 京都成章はあまりアタックの機会を得られず、湯浅泰正監督は「迷いがあったかも。緊張して、ビビったかな」と苦笑する。「もっとできたと思います。選手たちはいろいろ頭の中で考えちゃって、ファイティングスピリッツも足りなかった。力を出せなかったですね」。

 それでも、この春はいい経験を積んでいる。3月は強豪ぞろいの近畿大会で優勝し、全国選抜大会の準決勝では3連覇を遂げた桐蔭学園と1点差の大接戦を演じた。そして、このサニックス ワールドユースでは海外勢とも対戦し、ニュージーランドチーム相手のタフな準々決勝後は、「この時期に、『ザ・ラグビー』を体験できたのは大きい」と湯浅監督は語った。その裏には、もっとやれたという思いもある。自分たちのスタイルを信じてどんどん挑み、自信をもって、思いきってやることの大切さを再確認した。これから夏、秋に成長を重ね、その先に大きな目標を見据える。「ラグビーはひとりじゃできないし、15人がお互いの力を引き出せられるようなチームに育ってくれたらなと思います」。

戦いのあと、一緒に記念写真を撮るNZのセント ピーターズ カレッジと京都成章(撮影:Rugby Republic)

<準々決勝 結果>
・桐蔭学園高校(神奈川) 35-31 大阪桐蔭高校(大阪)
・セント ピーターズ カレッジ(NZ) 29-5 京都成章高校(京都)
・ウェーバリー カレッジ(豪州) 34-24 カーディフ アンド ベール カレッジ(ウェールズ)
・ポール ルース ジムナジウム(南アフリカ) 75-0 エクセター カレッジ(イングランド)

<9位~16位決定トーナメント 1回戦 結果>
・ザ ブリティッシュ スクールズ(ウルグアイ) 16-15 エニセイ-STM(ロシア)
・東福岡高校(福岡) 92-0 ペクシン ハイスクール(韓国)
・中部大学春日丘高校(愛知) 68-10 流通経済大学付属柏高校(千葉)
・京都工学院高校(京都) 29-12 佐賀工業高校(佐賀)

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